ichiko : 感謝・・・

  施餓鬼会(せがきえ)に参詣した。お釈迦様の弟子の阿難尊者が若い頃に修行していた時のこと。深夜に突然、骨と皮ばかりで口から火を吹いている餓鬼が現れて「あなたは前世の約束であと三日しか寿命がない。もし長生きをしたいのなら、餓鬼に食べ物を与えてください」といい、忽ち消えうせた。そのことをお釈迦様にお告をすると、「早速、食べ物を加持して餓鬼に施しなさい」と教えられた。これが焔口陀羅尼経(えんぐだらにきょう)というお経に出ている施餓鬼の謂れだ。
 餓鬼とは「心の飢えた人のこと」。施しは人のために何かをしてあげるこということでなく、「生かされている自分」のためにすることだという。施しをすれば、その徳が自分にかえる、決して見返りや感謝を求めてはならないということ。
  

   人生も後半になったが、また一つ自分の心を見つめなおした。毎年の法要だが、その年毎に異なった気持になる。60代の若さで亡くなった両親の墓前に手をあわせた。二人とも中年以降は病気やいろいろトラブルなど辛苦もあったが、ある時代は華々しい20代~30代を過ごした父と母を想像する。人生の最期、泣きじゃくる孫に手を握られて「うんうん」と頷いて静かに逝った父。「眠くなったから、寝るわ。おやすみなさい」といい、これが人生最後の「おやすみなさい」になってしまった母。長い時間、静かに両親のことをいろいろ思い出していた。

  今朝、私は、今がさかりと庭に咲き乱れている赤い薔薇の花を手折った。溢れんばかりの思い出の中、両親への感謝の気持で墓前にそなえた。
  

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このブログ記事について

このページは、ichikoが2005年5月22日 21:35に書いたブログ記事です。

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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