ch05.エンタテイメント : 今村作品のリアリティ 

  カンヌ国際映画祭で2度、最高賞を受賞した映画監督の今村昌平さんが今日亡くなった。
「にっぽん昆虫記」「楢山節考」そして井伏鱒二の小説を原作とした「黒い雨」など、数々の作品を残されたが、私は、犯罪者を描いた「復讐するは我にあり」が印象深い。この映画は佐木隆三の直木賞受賞の小説の映画化した作品。実在の連続殺人犯である西口彰の犯行を克明に綴っていく小説は作家の執拗までの綿密な取材によって書かれたものだ。映画化にあたり、取材魔で知られる今村昌平が更に取材加えている。
  何と言っても ロケを実際に犯行が行われた場所を使って撮影するという鬼気迫る方法をとっているところだ。とにもかくにも殺人場面での緒方拳の演技には身震いがしたほどだ。事実に基づいた重いリアリティを表現する時、俳優と監督との間の正気と狂気の鬩ぎあいを感じる。映画が終わった後も、言い知れぬ恐怖を与える凄みは今尚、私の中の映画リストのベスト10。
 

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このページは、ichikoが2006年5月30日 20:50に書いたブログ記事です。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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