ch07.味 : 魚料理 |
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人と食事をすることは大切なことだと思う。食育、食育と騒いでいるが、「食」は日々の積み重ね。生きてきた「全て」がそこに表現されてしまう。別に気取ることなく、美味しそうに食べることが出来ればいい。本当に普通のこと。
今とても、秋刀魚が美味しい季節。脂がのって、秋を感じる。と同時にふっと思い出すことがある。
昔の話だが、ある食事会があった。メーンは「魚料理」。数人がテーブルを囲んで、和やかで楽しい会話をしながらの食事会のはずだった。が、いつもどのような会議でも弁舌爽やか、知的なイメージの女性のナイフとフォークの使い方が何となくぎこちないのだ・・・・・。カチャカチャカチャ・・・・・・必死に焦っている彼女の横顔を見た。「ああ・・」と溜息にも似た声が洩れた。周囲がその様子に気付いていたのか、気付かぬふりをしたのか、会話が少し中断した。彼女は多分、魚の取り扱いに慣れていなかっただけなのだろう。しかし、皿の上に散乱した魚の骨、身、皮・・・・メーンディッシュの最後の姿は目にあまる光景だった。魚を食べる度に、何故かいつもあの時の彼女の姿が浮かんでしまう・・・。自分でも「いい加減に忘れろ!忘れろ!」と思うのだけれど・・・・。あの皿が頭に浮かんでくる。
食育というコトバがこれほどいわれなかった時代だったが、娘たちの魚の食べ方には本当に気を使って育てた。たとえ、質素な食事であっても、一つの料理を大切に、心から「ごちそうさま」といえるように・・・・。
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