その日、海を見下ろすホテルのレストランにいた。話の決着はまだつかないのだろう。もう少し先になるのだろうか?・・・・・  しかし、“もう少し先”という時間は、三ヶ月?半年?か。そんなサイクルが最近の自分の中で出来上がってきている。一年12ヶ月をそんな数で考えていく癖が付き始めたようだ。
   

   今の仕事は、ブロックのように一つ一つ焦らずに積み上げていくしかない。いろんな人が時に“自分時間”感覚で口を出す。仕方ないことだ。予想もしない、設計変更だって起こる。しかし、あくまでも冷静に、それが全てだ。焦燥感を感じた時に全ては崩れる。


眼下に静かに波立つ海が見える。
あっ!魚が跳ねた?
見間違いか?
光の屈折?
違う、息苦しくなった魚がはーっと跳ねたんだ・・・・
ほんの数秒だが、気持ちが海の中に入りこんだ。

   たまたまだった。真っ白な船体に蒼い「海」の文字が印象的な旅客クルーザーを見つけた。緊張する長い打ち合わせの中で、静かに自分が擦り切れていくのを感じていた時だった。
   暮れなずんでいく・・・・。空が少しだけ重たい。そんな空気を頬に感じながら、埠頭からそのクルーザーに乗った。全く予定はしていなかったことだ。本当に咄嗟の行動だった。
  夕闇迫る頃、緊張感がとけていき、潮風が心地よい。船内はBARになっていた。窓際の席にすわり、カンパリソーダを注文した。夕暮れの船内で、それはルビーのように揺れた。

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このページは、ichikoが2007年7月 1日 22:36に書いたブログ記事です。

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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