ch04.カルチャー : 「源氏物語」よ!永遠に |
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今年は源氏物語が登場して1000年ということであちこちでイベントも開催されている。例えば、横浜美術館では11月3日(月・文化の日)まで「特別展 源氏物語の1000年」など、壮大な源氏物語に触れるいいチャンスかも知れない。
先般も第10回けやき会の『物語の世界』という語りの会が行われ、その中で作家・瀬戸内寂聴訳の「源氏物語」夕顔の巻が薗田潤子さんが原文を、深野弘子さんが訳文を読むという会があった。垣根に咲く、あの夕顔の花の名のとおり、儚い夕顔の人生・・・・。ワサワサガサガサした日々の中で、久し振りに源氏の世界に引き寄せられた瞬間であった。
ところで、この瀬戸内寂聴さんは現在、86歳ということだが、なんと「こっそりケータイ小説を書いていました。ワクワクしました」といい、「あしたの虹」というタイトルで毎日新聞社から出版されたという!ペンネームは「ぱーぷる」。絵文字も使い、会話も若者を真似ての執筆。誰も天下の瀬戸内寂聴とは分からなかったというではないか。
作品は「源氏物語」の一部をモチーフにした現代の恋愛小説。今年の5月から9月までケータイ小説サイト「野いちご」に連載していたらしい。ああ、知らなかった。書いている最中には、宇治で元気に田植えもし、また泥酔して顔も大怪我したとか。その間も若者文化にどっぷり浸かっていたわけである。 「ケータイ小説は日本の文学を悪くすると言われるが、読まれているのには理由があるはず。なぜ読まれるのか知りたくて書いてみた」というから、まさに天晴れ!というか・・・・・脱帽だ。気力満タン!弾ける若さの秘密とはこんな感覚なのかも知れない。見習わなくてはね。
以前、ある講演会の席で、ずーっとずーっとケータイにメールをしているのかと思ったら実はケータイ小説を書いていたという女性がいた。あとからケータイ作家である事が分かったのだが、苛立ちから主催者にクレームをつけた自分が何ともね・・・・・という感じも少しだけある。まあ、今も本心から言えば、やはり講演会ではその演者の話しをよく聞けと思うのだが、瀬戸内さんの今回の偉業!により、ケータイ小説への気持ちがだいぶ変化した。まあ、これもまた「文化」である。
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