今後、健康で無事に長生きると仮定して・・・・人生半分?ほどきて、地球の上で、こんなちっぽけな何十年の自分の歴史の中で、面食らうことばかりだ。直接関係はないものの、例えばクライスラーの破産申請の話などは想像もしなかった。小学生の頃などの感覚で言えば「クライスラーはまさに「絶対的な存在」であった。結局は事業を必要な規模に縮小することで利点を生かしていくわけなのだが。本当に昔の夢だとか絶対などないものだとこの年齢になって、この情勢になって初めて理解できる。
  この連休に、超一流企業の社員であっても収入の不足分を補う為にアルバイトをしなくてはならなかったり、業績悪化という一言で、いきなり他所がらきたばかりの担当者に「働く場場所はありません」と辞職勧告されたり。誰が想像したか?ということばかりだ。フィクションでなく、現実。ひとつひとつを冷静に認めていかなくてはならない。


   ふっと思い出してみる。昔、勤務していたサンケイリビング新聞がフリーペーパーを発行した頃は、その勢いは想像を絶するほどに凄いものだった。周囲にこれほどのパワーがあるものがなかったもそんな時代。「世界一の発行部数」とうたった。人々は「何故、販売せずに発行できるのか」と聞いた。今ではもう当たり前の事が、当時はその仕組みさえ皆が知らない時代があったのだ。広告収入が命。しかし、その広告を支えるのは独自の編集だ。その企画に日夜没頭した。いつの間にか、営業センスで編集をする・・・・ような力を得た。不思議な感覚だ。これはフリーペーパーならではの知恵というものだ。
  発行をしたメディアを支えてくれたのが新聞をそれぞれの家庭に配布するコンパニオンさん。当時はそれぞれ地域に住んで、且つ読者である主婦の方々の力に支えられていた。思い出せば、そのコンパニオンさんたちが毎週、密かに行う「お値段調べ」というもの。それぞれの担当のスーパーにある商品の価格を調査するものだ。指定された"時"のお値段を調べる仕事だ。「今週の調査商品は・・・・・・・です」とそれぞれのコンパニオンさんに電話で伝達する時は、何故か胸がドキドキしていものだ。人気の成城のイシイさんにもお値段調べをしていたのだから今考えるとなかなか凄いことをしていたと思える。毎週、その価格表が記事になり、各家庭の主婦はスーパーのチラシとともにサンケイリビングを見比べていたのだ。各スーパーの担当者も首っ引きとなる。
  主婦の興味といえば、「家計診断」。読者からその家庭の家計簿を専門家に診断してもらうというもの。今ではフツーかも知れないが、当時の企画としてはやはり画期的だろう。一ヶ月の収支。給料、食費、預金・・・・まさに「生」の数字がそこに発表されているのだから。読者は他人の家計簿と自分の家計簿を密かに見比べ、何を思っていたのだろうか。よそのうちの家計簿。多くの主婦は興味を持った。人気のページだった。
  当時はパソコンもないデスク。原稿は全て原稿用紙に手書き。地区本部にいた時は本社に原稿を持っていくために先輩諸氏の原稿が書き終わるまで待っていた時代もある。ファックスが導入された時は、歓声をあげたこともあった。勤務表も確か、手書きだった。レイアウトはレイアウト用紙にバイジャクを使う。今では何もかもがパソコンの世界で終始する。
  思えば数十年の間に何もかもが予想もしない時代になった。広告収入が激減している現在は、フリーペーパーの発行は青息吐息だろう。人気の雑誌も休刊、廃刊となる時代だ。テレビだって然り。「最近は本当に番組がつまらない」と多くのお年寄りが口々に言う。私にとっては面白くて好きな番組はあるけれど、高齢者にとってはつまらないと感じる番組が多いのかもしれない。まさにメディアが生まれ変わる過渡期ということだろう。生まれ変わるのは苦しい。
  今後も・・・・生きている限りは多くの「変化」の中を進んでいかなくてはならないのだろう。心に余裕をもって進むことだ。「昔は・・・」とかいうことは月でもあおぎながら語るにとめたほうが良いのだろう。その月の美しさは昔とちっとも変わっていないのに。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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