社会問題 : ドキュメンタリー映画「こつなぎ」 |
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入会権という言葉をご存知だろうか。このドキュメンタリーを観た後に、人がその地域で人間として生存していくための根本にある思想であると感じた。
最近は優れたドキュメンタリー映画が作られてているが、 『こつなぎ』 も素晴らしい作品であった。「小繋事件」について詳細を知らない人でも登場する人物の表情、会話、自然、そして何よりも明治、大正、昭和、平成と厳粛な流れの中の社会矛盾について胸がつまる思いだ。
「10分あまりでまわれるほどの小繋集落を目の前にした時、3人のジャーナリストの取材記録をまとめるのが私の役目だと思いました」と言う監督の中村一夫さん。その言葉には重みがある。
既に半世紀近く前に、ドキュメンタリーカメラマンの菊地周氏、写真家の川島浩氏、ドキュメンタリー作家の篠崎五六氏のジャーナリストたちが小繋集落を訪れた時に記録した気が遠くなるほどの膨大なフイルム・写真・テープなどが活かされている作品で、2時間にわたる作品だが完成までに7年間の歳月が費やされたという。
登場する大学教授の職を投げ打ち彼らのために弁護士なった戒能通孝氏や戒能先生の早稲田大学教授時代の教え子の藤本正利さん。多くの方々が既に故人になっている。そうした人々が住民と一緒になり、理不尽な権力との闘いをしてきた生の姿がそこにはある。
終演後、ふと豊かさの中で何を失ってしまったのか・・・と思った。
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