ch04.カルチャー : 詩集 |
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最近はどういうわけか、しばし忘れていた本に手をのばすことが多くなった。
たまたま、現在、長野県安曇野にある虹の村診療所・意識教育研究所の所長である小林正信先生のお話しの中で、先生が三好達治の一篇の詩をよまれた。「わが名をよびてたまはれ」という詩であった。二回ほど繰り返しよまれた。うつ、不登校、ひきこもりなど心に問題をかかえる子どもたちと日々会話をかわす小林先生の優しい気持ちが感じられる。よまれている時に、こんな季節の空気が妙に懐かしくも思えた。
春といえば、新しい教科書を手にワクワクしながらそれぞれの教科の教科書の一ページを開いたものだ。国語などは必ず詩があった。当時はそれほど気にもならず過ぎていた時間が今になってみるとこんなにも懐かしいものかと思える。
帰宅してから、書棚の上の方をぐるぐると見回してみた。「あった・・・」。三好達治の詩集。詩などゆっくりよんでみようなどと言う気持ちは久しぶりの事だ。打ち合わせ、料金交渉、締め切り、受注だ発注だと気持ちはいつもギリギリとしている。ささくれる時だってある。そんな慌しいだけの日々の中で、ソーダ水のように何かが弾け飛ぶ。ひとつひとつの詩人の言葉を目でおうだけでなく、ちょっと声をだしてよんでみた。ああ!一篇の詩。
わが名をよびてたまはれ
いとけなき日のよび名もてわが名をよびてたまはれ
あはれいまひとたびわがいとけなき日の名をよびてたまはれ
風のふく日のとほくよりわが名をよびてたまはれ
座のかたへに茶の花のさきのこる日の
ちらちらと雪ふる日のとほくよりわが名をよびてたまはれ
よびてたまはれ
わが名をよびてたまはれ
(三好達治)
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