ch12.その他 : 有難う


  電車の中で隣りに親子連れが座っている。「おかあさん!お空がきれい!!」と子どもが歓声をあげている。ふと私も窓の向こうにひろがる空を見た。空には雲ひとつなく・・・。「いいお天気でよかったね」と私も小さく呟いていた。

  昨日1月16日は昔、新聞社勤務時代の仲間の告別式に参列した。会社をやめてからは殆ど年賀状の挨拶と彼女が編集している雑誌の定期購読くらいのお付き合いとはなっていたのだが・・・。その人物の葬儀にこんなに早く参列するとは全く思ってもいなかった。
  式場に到着すると「いち子さん、こんな時にしか・・・」と昔の仲間達が皆、目に涙を浮かべている。元気にしている時は"他人事"のように思えても誰もが必ず直面するこの世、そして家族や関わってきた人々との別れ。勤務時代はいろいろな感情もあった。しかし、人は「死」というその瞬間に、全ては「無」となっていく。様々な感情さえもなくなり、全てが透き通り輝く世界になっていくようだ。そしてその人の明るい笑顔の思い出しかない。

  昨年の12月4日に終わっていたという彼女のプログは、まだ自分の旅立ちを茶化しているようにも、いや、違う。やはり何か研ぎ澄まされた全神経が冷静に覚悟している、そんな文章だ。癌の痛みと闘ってきた時間。痛みから早く解き放たれたいと思って過ごしたことだろう・・・。

  彼女が大好きだったというさだまさしの「帰郷」という曲がヴァィオリン演奏された。目の前には元気に活躍していた頃の笑顔一杯の彼女の姿が映し出されていく。生まれて、学生生活を送り、恋をして結婚して、子育てをして、そして仕事で頑張ってきた日々。そんな映像を見ながら月並みな言葉しか言えない。「まだこれからだっていうのに・・・」なんて言っても彼女の笑顔は決して戻らないのだ。そして、棺の中の彼女は静かな穏やかな表情で深い眠りについていた。胸には沢山の仲間達からの手紙を抱えて。
  これまで有難う! ご冥福をお祈りします。

カテゴリ

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 有難う

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://210.196.86.5/~blog_mt/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2350

コメントする

このブログ記事について

このページは、ichikoが2011年1月17日 09:42に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ここで一句」です。

次のブログ記事は「江戸城再建を目指して」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

プロフィール

ichiko.tv

ichiko.jpg
吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

メール

ご意見・ご感想はコチラまで!

著書紹介

「にっぽんの旨い!を取り寄せる」
食文化研究家・永山久夫さんの全国津々浦々のお取り寄せグルメ100選。「おいしい」の裏側にある生産者の思いにも触れられる一冊。未知の「味」と出会える。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街行列店の秘伝レシピ」
横浜中華街で特に評判の高い厳選29店の味を家庭で再現するためレシピ。秘伝の味を再現するためのコツや工夫を惜しみなく公開。プロの味が家庭で再現できるか?について検証した。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街オフィシャルガイドブック2005-06」
独立して初めて関わった思い出のガイドブック。横浜中華街発展会協同組合の325店全店完全取材! 「食」と「文化」、「歴史」そして華僑・華人の「生活」に触れられるオフィシャルガイドブック。あの燃えるような夏の取材の日々は良かった。
価格950円(税込み)

「和食のいろは」
和食のおいしさを支える基本をあらゆる角度から紹介。プロに教わる目利きのコツから料理研究家直伝の和食レシピ満載。ずっと会いたかった道場六三郎さんをインタビュー。
価格1,470円(税込み)

「マヨネーズってわっはっは」
 親友のかっちゃんこと小林カツ代さんのマヨネーズを使って驚きレシピを紹介。遊び心がいっぱいのレシピや薀蓄も盛りだくさん。
価格1,470円(税込み)

「浅草散歩ガイド」
一カ月に一回は必ず遊びにいく浅草。路地裏は最高。どうしても「浅草のガイドブック」を作りたかった。浅草今昔物語から「食べる」「歩く」「憩う」「買う」浅草が満載だ。
価格1,260円(税込み)

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31