ch12.その他 : 地の底の人生記録 「炭鉱に生きる」 |
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衝撃だった。絵が上手いとか下手とかではない。炭鉱での事実を、只管きちんと真面目に描いている山本作兵衛の画文集「炭鉱に生きる」(講談社)を見た。炭鉱は「ヤマ」と読む。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界記憶遺産」に決まった。まさに世界が認めた「ヤマ人」の記憶である。例えば石炭の仕分け作業を描いた絵。ベルトコンベヤーに沿って並ぶ9人の女性の顔つきはみな同じようなのに着物は柄の一つ一つが丁寧に描写されている。また混浴というのも驚いた事実だが、共同浴場の絵も特徴的。逞しい炭鉱労働者の入れ墨が実に緻密に再現されている。他の男女の肉体は非常に簡素化されているそのアンバランスが面白い。まさにヤマにいた一人の天才の記憶である。
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