ch12.その他 : ここにいるよ |
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「そりゃ、たまたまだよ」とか「偶然起こったことだ」ということは沢山あることだと思う。無理やりに結び付けて考えることはナンセンスだと言い切る人も多いだろう。しかし・・・
先般、いつもメンバーで例会をしているレストランでの出来事。亡くなった仲間のことを是非聴かせてほしいとメンバーで集まった夜。最初に病名を打ち明けられ、仕事上の引き継ぎ、その他諸々こと。様々なことを言い残されたその方とお目にかかるのはその夜が初めてであった。
席について暫くして、何故か?店内の灯りがパンと全て消えた。いきなりのことに店内はザワザワと人々の声があちこちから聞こえる。私たちは暗闇の中にいた。瞬間、私は亡くなった彼が「俺はここにいるよ」とのメッセージではないかと心の中で思っていた。しかし私は何も話さなかった。暫くして店内に灯りがついた。「おおっ」「あ~」などという客人の安堵の声が聞こえた。メンバーの一人でいつもこの店を予約する人が「こんなことって・・・今までないのになぁ・・・」とぽつりと呟いた。
余命一ヶ月の宣告を受け、彼が亡くなるまでの時間。その方はつぶさに話し始めた。それを聞きながら、私はふと奥の席にいる彼の姿を見た気がした。あまりの衝撃的な事実。余命というあまりにも衝撃的な響きを冷静に受け止めるのに必死だったのだと彼の姿に涙が零れた。
電気がどうのこうの・・・そんなことかも知れない。ただ、あの追悼の席。闇の中の気配は一体なんだったのか?説明のしようはない。今はただ冥福を祈るだけ。そしていつまでも仲間の思い出を語り合うことが何よりの供養だと思う。またあの店に行きたい、いや、行くよ。
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