ch12.その他 : 九九 |
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都内某所。ある日曜日の夜のこと。次の目的地に向かっていつものようにせっかちにワサワサと歩いていた。後方から家族4人が歩いてきた。女の子二人とお父さんとお母さん。長女は母親と手を繋いでいる。次女は父親と手を繋いでいる。仲睦まじい家族見える・・・のだったが
「何度言えば分るのよっ!」「ニシガ?」「ニシガ!」と母親の語気が酷く強い。長女は押し黙って歩いている。どうもその会話が気になって、結構長い横断歩道だったが、歩く速さをゆるめた。要は九九の話である。横断歩道を歩きながらも母親の語気はますます強くなる。「ニシカハチでしょう!」「なんで分らないのよ!」「シロク?」「どーしたのよっ!」「シロク!」「シロク!」と続いていく。
あああ・・・思わず「ちょっと、お母さん!」と心の中で叫んでしまった。ニニンガシ~♪とでもリズムで覚えてしまったら・・・。女の子の気持ちを考えたら、何とかならないものかと考え込んでしまう。ずーっとずーっと母親は横断歩道を歩き終わっても「シロク?」と声を荒げている。父親は黙ってその様子を見ている。お父さん?何故、何も言わないの?何か言ってあげてちょうだい!
何かやり残したような気持ちだったが、私は急いで地下鉄に乗り込んだ。
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