ichiko : 命あっての物種 |
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トゥルルートゥルルー・・・・5回のコールの後に留守番のメッセージが流れた。「変だなぁ?」と思う。編集制作会社の田村社長は「電話早とり選手権にでも出るんですか?」と2人で大笑いしたこともあるほど、それこそ「トゥル」と1回コールしたかしないかで、素早く電話に出る人だから。
「吉田いち子です。本が出来たので一冊、お持ちいたしますねぇ」というメッセージを残して私は電話を切った。そして、編集者のチエちゃんにも本を渡そうとケータイをした。
いつもはなかなかでないチエちゃん。それこそ!チエちゃんには留守電を残しておくつもりだった。それが、この日は違う。電話の声が違う。震えている。
「どうかした?」
「いち子ちゃん、田村さんが今朝亡くなったのよ・・・・・」
「えっ」と私は言葉を失った。
人生には限りがある。しようのないことだけど。数ヶ月前「今度、小林カツ代さんの本を作ることになったんですよ」と電話で話したのが、最後になってしまった。
「吉田さん、それはよかったね。応援しているよ」というのが最後の会話になってしまった。
人間関係を大切にすればするほど、ひとを失った時の悲しみは大きい。打算やその場限りのお付き合いでは悲しみは生まれないし、そんな人間関係など私はしたくないと思う。
ずっと広告代理店でやり手バリバリの営業マンで、定年後も精力的な営業活動を「この日」の前日までしていたという。田村さん、私の声が聞こえますか?ひとは命あっての物種。ああ、早すぎるよ。。。。
2004年12月1日、ゆっくりお休みください。
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