社会問題 : 時代の寵児

  時代の寵児とはどんな人なのだろうと思うことがある。テレビで「楽天」会長兼社長の三木谷浩史さんを見る度に、彼は寵児だと思う。
  今から20年ほど前、「ネット」などというコトバは本当に一部の世界の中でのものだった。
ある日、某広告代理店の男性が「吉田さん、例えばネット上でペンを売ったとしたら、買いますか?」と聞いたことがある。私はそのとき即答できなかった。ネットそのものの理解が浅かったし、ペンは文房具店でしか買ったことがなかったからだ。
  
以前、勤務していた新聞社でマーケティングセミナーが実施されたことがある。「面白い人物がいる」ということで、ある営業マンが講師として招いたのが、三木谷さんだった。
 1988年一橋大学卒、日本興業銀行入行。93年米ハーバード大経営学修士(MBA)を取得して帰国。「一度きりの人生で悔いを残したくない」と95年11月に興銀を退職して起業した。華やかなプロフィルだった。しかし、とてもラフな格好で講師にのぞんだ三木谷さんは「楽天市場」を設立したばかり。会場は「へぇ?」という空気が流れた。しかし、声に勢いがある三木谷さんは織田信長が開いた「楽市楽座」が大好きで、社名はこれがヒントとなり命名したという経緯から話した。そしてネット上で「卵の販売をしているが、新鮮な卵が消費者に人気を呼んでいる」と笑顔で言った。私はこの時、彼の着眼点は普通じゃないと直感した。しかし、セミナーを聞いていたある営業マンは「卵なんて対面販売で商品を自分の目で確認して買うものだ」と反発し、いずれ、ネット上の販売などうまくいくはずがないとも言った。セミナー後に「興銀を辞めてまで、卵の販売かぁ?」など悪態をつくものもいた。
  しかし「楽天」は営業開始して、わずか1年で出店社数200超の日本最大の電子商店街に成長。現在は約8000店をゆうに超えている企業となった。 この間、2000年に検索サイト大手インフォシークを買収するなどM&A(合併・買収)を積極的に展開。2003年9月ネット旅行業大手「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネット、同11月ネット専業証券大手DLJディレクトSFG証券を相次いで買収し、業態を急速に拡大している。
  オリジナルな着眼点で事業をする人はほんの一握りの寵児だ。自由な発想できる人間はやはり天才なのだと思う。日本人は真面目な人種だ。しかし大半が横並び、金太郎飴発想に終始する。今後の日本の発展のために自由な発想が出来る教育がますます必要となってくる。元気のない中高年にカツをいれるとともに、兎に角脆弱な若者が少しでも夢がもてる社会に大人たちがしていかないとならない。

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コメント(1)

よしこ :

おひさしぶりです。
これを読ませていただいて我社にも先をつかもうとしている人間もいるのだなと感心しました。
しかし、受講する人間がただ聞くだけに終わってしまっているんだね、悲しい限りです。
私が楽天を利用するようになったのは、猫のおもらしによる布団の丸洗い。今でこそ落ちつきましたが、最初はたいへんでした。ペットのおしっこは臭いんです。でもその都度布団を捨てられませんので、検索したところ岩手県で丸洗いをしてるんです。それも、布団を丸洗いしている間、無料で貸出もしてくれるのです。すべて、サイトでOK。平日クリーニング店に行けない私にはうってつけのものでした。もう、宅配業者の方とも懇意になり、私がいなくても玄関の踊り場において置くと処理してくださっています。インターネットにも良し悪しもあるのでしょうが、楽天を考えられた三木谷さんはすごい人ですね。

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このブログ記事について

このページは、ichikoが2005年2月20日 09:23に書いたブログ記事です。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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