ch07.味 : 上海蟹の虜 |
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上海人のあいだで「今年は何匹食べた?」などという会話が交わされる季節がまもなくやってくるそうだが、先日、友人が経営する中国料理店で今年初めての上海蟹を食べた。
いろいろなものを食べながら、食文化ってなんて面白いんだと感じる。
美味しい物にはわけがある。上海蟹も基本的には蒸すだけという極めて単純な調理法。その味の奥深さにはいつも驚愕。脳天突き抜ける美味しさではないが深まる秋とともに確実に味を増していくのだ。友人4人は寡黙。もくもくと食べている。
「苦手なクライアントの接待には絶対にカニ料理がいいんだよ!」と言っていた営業マンの友人もこの日は親しい友人たちに囲まれていたにもかかわらず、もくもくと上海蟹の虜になっている。
店のオーナーである友人が、味噌の部分をチャーハンにしてくれた。テーブルの上にあつあつのチャーハンがおかれた。皆ゴクリ。そして、また、もくもくとチャーハンをたいらげていった。いつになく、会話の少ない夜が過ぎた。
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