食育基本法が平成17年7月に施行されてから、いろいろなメディアで「食育」が取り上げられるようになっている。何か仕込めるぞと、相変わらずの陳腐な「癖」が出て、6月ごろから胸をときめかしていた。
 二十一世紀における我が国の発展のためには、子どもたちが健全な心と身体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようにすることが大切である・・・・条文を読んでいると、「食」って一体何なんだと思うようになってくる。

  この季節。春風のにおいがする。ふきのとう、タラノ芽、せり・・・大好きなものが勢揃い季節がやってきた。小学生の頃、母親の実家に遊びに行くと、川の土手には土筆が顔を出して、灰汁をとってたいた。せりのおひたし、ふきのとうの天ぷら。当時はそんなにおいしいなんて全く感じなかったものが、今では本当においしいと感じる。私の「春」の味覚の原風景だ。


  「食育」とは、難しいことじゃない。子供に「おいしいね!」と感じさせる日々繰り返されることなのだ。
  それぞれの人が生まれて育った間に感じた懐かしい味がある。今、編集している『ありか』という情報誌に毎月「おふくろの味」というコラムを各界の方に執筆してもらっているが、毎回「メニューが重なったらどうしよう・・・」と思いながらも、毎月本当に楽しいコラムが出来上がる。巨大おむすび、甘いたまご焼き、栗ご飯・・・・と「味覚」の原風景だ。甘いたまご焼きも、ちよっと焦げてしまったことも、みんな丸ごとおいしい、懐かしい「おふくろの味」なのだ。
   

  「昔、おふくろが作ってくれたつみれ汁。新鮮なイワシだったんだなぁ。今でも食いたいと思う」と友人が懐かしそうに思い出しながらいう姿を見ると、聞いているこちらも嬉しくなってしまう。いいもんだ、おふくろの味。そんな「あれ、うまかったなあ」という小さな日々の感動が、子供の舌を、思い出を作っていくのだ。
  高級食材でなくてもいい。子供の成長を考えながら作る、素朴な料理でいい。子供が「おいしい」と感じることは、生きている限り、ずっと続いていく。たとえ、料理が得意でなくても、「お母さん、これおいしいね」という味を作ってあげよう。子供の舌は素直に覚えていく。

| | コメント(0)

カテゴリ

コメントする

このブログ記事について

このページは、ichikoが2006年2月12日 23:11に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「あっぱれニッポン 知恵と努力は負けない!」です。

次のブログ記事は「2月14日 あの日の青空」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

プロフィール

ichiko.tv

ichiko.jpg
吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

メール

ご意見・ご感想はコチラまで!

著書紹介

「にっぽんの旨い!を取り寄せる」
食文化研究家・永山久夫さんの全国津々浦々のお取り寄せグルメ100選。「おいしい」の裏側にある生産者の思いにも触れられる一冊。未知の「味」と出会える。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街行列店の秘伝レシピ」
横浜中華街で特に評判の高い厳選29店の味を家庭で再現するためレシピ。秘伝の味を再現するためのコツや工夫を惜しみなく公開。プロの味が家庭で再現できるか?について検証した。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街オフィシャルガイドブック2005-06」
独立して初めて関わった思い出のガイドブック。横浜中華街発展会協同組合の325店全店完全取材! 「食」と「文化」、「歴史」そして華僑・華人の「生活」に触れられるオフィシャルガイドブック。あの燃えるような夏の取材の日々は良かった。
価格950円(税込み)

「和食のいろは」
和食のおいしさを支える基本をあらゆる角度から紹介。プロに教わる目利きのコツから料理研究家直伝の和食レシピ満載。ずっと会いたかった道場六三郎さんをインタビュー。
価格1,470円(税込み)

「マヨネーズってわっはっは」
 親友のかっちゃんこと小林カツ代さんのマヨネーズを使って驚きレシピを紹介。遊び心がいっぱいのレシピや薀蓄も盛りだくさん。
価格1,470円(税込み)

「浅草散歩ガイド」
一カ月に一回は必ず遊びにいく浅草。路地裏は最高。どうしても「浅草のガイドブック」を作りたかった。浅草今昔物語から「食べる」「歩く」「憩う」「買う」浅草が満載だ。
価格1,260円(税込み)

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31