ichiko : 雨降る夜の「何故?」 |
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雨音を聞きながら長い夜を過ごすのが好きだ。唐突だけれど、昔から落ち着いているのはそんな状況の夜だった。
窓に流れる雨粒を見ていると昔の事を思い出す。「何で?何で?」「どうして?どうして?」と五月蝿く聞いてくる私に、ある日、母親は「なぜなぜ理科」などの、なぜなぜシリーズの本を買い与えてくれた。「なぜなぜ」というタイトルは今思い出してみても結構ヒット。なかなかいいタイトルじゃないか。
その日から、私の枕元には「なぜなぜシリーズ」が常備。「どうして空は青いの?」など日常の素朴な疑問に、この本はひとつひとつ答えていってくれた。なぜなぜに夢中になっていた夜にも、雨が降っていた。窓ガラスを雨粒がいくつもいくつも流れ落ちていった。私はその跡を指でなぞりながら雨が消えていくのを見ていた。消えるまで。
雨の夜はいいものだ。いろんなことを思い出させてくれる。今、私の心の中にある「何故?」という疑問にも静かに答えを見つけていけそうだから。
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