ch07.味 : 魚たちが変だ! |
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その日の夜は、いつも旨い魚をだしてくれる店のカウンターにいた。旬とはいいもんだ。
「今日はいい鯖がはいっているよぅ」と店の大将が言う。でも、やはり旬の、脂ののった秋刀魚が食べたい 。「今年は豊漁だってねぇ?!」と秋刀魚の塩焼きを頼めば、大将が目を丸くして言い返す。
「俺はもう30年以上も魚を扱っているけど、今年の秋刀魚ほどビックリしたことはないんだよ」と。
「ええっ?」と驚いて聞くと「兎に角、大きいんだよ」と言う。
暫し会話が詰まる。何で?何で?・・・・・。すると、大将は両手を30センチちょっとくらいに広げて見せた。「長さだけじゃないよ!もうまるまる太っているんだ」。
“ちょっと時間がかかるよ”といわれた秋刀魚の塩焼きがカウンターに置かれた。
「んーっ、なかなか、これも大きいけどね、こんなもんじゃないくらい大きい秋刀魚だ」と、皿の秋刀魚をまじまじと見つめている。「俺よく分からないけどね、地球がやっぱし、おかしくなってんじゃないかぁ?」と。
・・・・・私の鞄の中に、読もうと思って今日も1日持ち歩いていた『地球温暖化と気候変化の予測』のレポートがあった。全く、頭の中でいろんなこと考えていたって、この自然の変化に気付かず、漫然と生きている自分。
「ああ、そうだ。この間千葉の木更津沖で釣った鯵も驚くくらい、大きくてねぇ、よっ!シメタ!と思って刺身にして食べたら、もう唖然だよ。ただ大きいだけで全く脂がのっていなかった・・・・やっぱし、地球がおかしいんじゃないか?」そういうと大将はうまそうにグビッとビールを一口飲んだ。
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