某地方都市へ出掛け・・・・夜になった。帰りの特急の中でのこと。もう遅いから自由席でいいか・・・と乗り込んだ。意外と混んでいる車両。「ああ、指定席にすればよかったか」と後悔。
  私の斜め前方の男性グループは荷物から葬式の帰りか。彼らは座席にすわるやいなやワアワアと騒がしく、缶ビールと駅弁を広げ始めた。話の内容から、やはり葬式の帰りようだった。そして、彼らの前にいる中年男性はかなり酔っているようだった。
  しばらくして、疲労からウトウトとしていた・・・。そんな時だった。男性グループの一人が左斜め前の中年女性になにやらコソコソと話しかけた。最初は知り合い?なのかと思っていたが、次第にその女性が声高に「じゃあ!何か私が迷惑かけたって言うの?!」と言う。話しかけた男性は「いやいや」と言うものの中年女性はスクッと立ち上がり、大きな声で罵声を浴びせた。車内は一時的にこおりついた。ウトウトしていたが、、わっと目が覚めて、何がなんだか分からないもののその様子を見ていた。どうも原因はその女性が連れていたペットのネコであった。勿論、彼女は鞄のようなケースに入れていたのだが一瞬かそのネコが顔を出したのだ。且つ、その注意した男性は特にネコが嫌い?だったのだろう。中年女性が「あんただって、子どもいるんでしょ!ちょっといるんでしょ!」と何回も何回も怒鳴り続けた。すると右斜め前方の酔った中年男性が「うるせーっ!うるせーっんだよ、この野郎」とその中年女性を怒鳴った。「うるせーっ?何よ!あんた、なんて言った?」・・・・・・もうそれからは「キレる」の連鎖連鎖・・・・・。
  


  終点までは特急は止まらない。皆、じっとしているだけだ。若い男性は「申し訳ない」と謝り続けるが、彼もビールを飲んで少し酩酊している。このまま、その女性の怒りがおさまるまで何とかもちこたえて欲しいと思っていた。もし、彼が爆発したらもう御終いだ。「うるせーっ」と先ほど怒鳴った男性は荷物をまとめるとかっかっと車両をうつっていった。
  20分ほどして終点の駅に到着した。途中でケータイがなって私はデッキに出ていたが、何とも後味の悪い帰宅となった・・・。


   「あんただって、子どもいるんでしょ!」と怒鳴ったあの中年女性の声が耳に残る。彼女にとって、あのネコは大切な宝だったのだろう。宝は静かにしていた。ちょっとだけほんのちょっとだけ「顔」を出してしまった・・・・・。それだけの事だったのだが。

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このブログ記事について

このページは、ichikoが2008年1月22日 00:03に書いたブログ記事です。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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