ichiko : 息 |
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ふと見たテレビ番組で、江戸中期には30歳もいけば結構、長生き・・・ということを言っていた。いくばかりかの不満や不安はあっても、寝込みを敵に襲われるなどということもなく平成時代をいわばぬくぬくと生きていることを改めて気付かされた。時代が進むにつれ人々は本当に長く生きていくのだ。
よくいう「平均寿命」とは、0歳児における平均余命、つまり後にどれくらい生きられるか?のこと。紀元前11世紀~1世紀「縄文時代」の日本人の寿命は、男女ともに14.6歳 だったそうだ。縄文時代は長いものの、その過酷な時代を日々生きていくことさえ、想像を絶するほどのことだ。そして紀元前8世紀~3世紀の弥生時代、3世紀~7世紀古墳時代になっても縄文時代と、ほとんど変わらず。14~16世紀の室町時代では、15.2歳とほんの少しだけのびる。そして17~19世紀の江戸時代へ。17世紀では、20歳代後半~30歳。明治、大正時代とみてもせいぜい40代前半。人生50年といわれるのもそれほど長い歴史があるわけではない。初めて男性が70.17歳、女性が75.58歳と70代を越したのは昭和46年くらいという。短い歴史だ。
平均寿命が伸びた一番の理由は乳幼児の死亡率の減少。大正末期すぎから漸く低下していったのだ。そんな目でふわっと柔らかで暖かな小さな赤ちゃんたちの姿を見ると、「この時代」に生まれてきたことに感動さえおぼえる。ありがとう!ありがとう!と。
そう、2007年の年末の事・・・・・
「この年末を越せるかどうか・・・・それさえ心配なのよ・・・」と映画監督のMさんが電話の向こうでぽつんと呟いた。痛むほどの身体の不調を聞いた師走の慌しいあの日のあの時間。
「来年?・・・・そうねぇ、7日に会えるかも。午前中に電話してね。待っているからね」と。私はずっと携帯を耳に当てていた。彼女から電話を切った。電話は切れても、そこには長い溜息にも似た、彼女の「息」が残った。精力的にまっしぐらに仕事をし続けた映画監督のМさん。メガホンをにぎりしめていたあの時間が甦る。絶対に会おう。何がなんでも!。そう思いこの正月を迎えたのだから。
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