ch10.生活 : 庶民のボヤキ |
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密かに応援している店がある。数年前に家の近所にオープンしたパン屋さん。家族全員で頑張っている店だ。オープン当時は、「いつもありがとうございます!」というお兄さんもイキイキして実にカッコ良かった。しかし、この数ヶ月、何かが変わった・・・・。店全体が元気でない。時々見かけるお兄さんもげっそり痩せて、なんかやつれた感じで、当時の俤がなくなってしまっている。「ありがとうございます」という声にも張りがない。パンにも張りがないというか、当時のはちきれんばかりの美味しさが感じられなくなっている。それに店内の観葉植物まで枯れている・・・・。気がつかないのかしら?これは大変だ・・・。
パンの横に"商品の値上げ申し訳ありません"などとまで書かれているではないか。
小麦の国際的価格高騰が止まらず、最近では「米粉」が急速に注目を集めているほど。小麦の何倍のコストがかかると言われていた米粉でさえ、今は米と小麦の価格差が一気に縮まってしまっているのだ。
たまたま、美術の教科書などでも掲載されているようだが、この世で一番美しい書とよばれている『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』をネットで見ていた。
七月。この時期はまさに小麦の収穫期の様子が描かれている。小麦は主食のパンになる。だからこそこの収穫量が国民の胃袋を左右した。収穫量の如何は本当に切実な問題だ。
そして後方にはベリー公の建物が。クラン城か。ベリー公はなんと約17の宮殿、居館、城館を持っていたそうで、暮らしぶりはまさに王様だ。王様だって国民だって、みな小麦の収穫を心の底から待ち望んでいる。
さして、話はまた、あのパン屋さんに戻り・・・・。従来の価格が頭にインプットされているパンの値上げ。何倍になっているわけではないものの、美味しさを失いつつあれば「・・・・ん・・・今日はやめておこう」ということもある。「焼きたてですよ~」というおばさんの声に「じゃあ、それも!」という事もない。
ああ、なんてことだぁ!一庶民のボヤキは続くわけか・・・・・。
画像は 『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』より
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