ch10.生活 : 変貌


   先般、日比谷に行った時、目の前に広がる更地に「あっ」と声を失った。日々、バタバタとしているだけで「気がつかなかった」という状態だった。古く趣のあるビルの像が目の前に広がっていった。いろいろな思い出が頭の中に浮かんだ。入り口すぐにあったレトロなレストラン。そしてお世話になった薬局、書店。千代田線に繋がる途中にほっと一息できる憩いのスペースがあり、ここでは本も読めた。仕事の後にマッサージを受けたショップもあったなぁ・・・・しかし、今、目の前にあるのは更地。以前から取り壊しということは知っていたのだが、ふと見る更地の前では私はまるで浦島太郎の気分だった。
   そして東京駅へ出た。南口にある東京中央郵便局、大阪中央郵便局にも高層ビル化計画がある。中央郵便局は郵政建築の基礎を作った吉田鉄郎氏の代表作。何の変哲も無い建物のようであるが昭和初期の建設で、シンプルなモダニズム建築の代表格で私は昔から本当に大好きな建物なのだ。これもまた、2011年度中に現在の局舎の一部を残して約200メートルの高層ビル「JPタワー」(仮称)を建設される。新タワーは地上38階、地下4階建てで米国の建築家、ヘルムート・ヤーン氏が外観デザインを担当する。四面がガラス張りにし、正面に当たる北側壁面には角度のある凹凸を設けて「折り紙」のイメージを再現するらしい。保存を求める声が多かったためにタワーの低層部には、地上五階の現在の局舎の外観部分をほぼ残すらしいのだが・・・・・何か違う。
   且つ、老朽化に伴って移り変わる商業環境の変化にはついていけなかったということでやはり老舗の横浜松坂屋は、10月に閉店すると聞いて妙に淋しくなった。前身の呉服店から140年の歴史がある百貨店だ。人気デュオの「ゆず」が店の前で路上ライブをしていたことでも知られているが。場外馬券場が入居し賃貸収入がある西館は残すものの、進む老朽化で10月26日には営業終了ということだ。老朽化した設備の修復に60億円ほどかかるらしい。しかしそれに見合う売り上げ増は見込めない・・・こうした理由で100年以上の歴史が閉じられる。しようもないことなのだが、ああ!ああ!
   こんな気持ちの時にテレビで沸騰都市アラブ首長国連邦のドバイの変身ビルのニュースを聞いた。イタリア人建築家デビッド・フィッシャー氏が世界初の変身ビルを開発・建設を始めるという。ここもまた凄い。高さ420メートルの80階建てで、2010年に完成予定らしい。柱状の構造物を中央に設置されてその周囲を取り巻くように居住スペースがぐるりと1~3時間で1周するという。「全方位の景色を全部の部屋から楽しめるのは私が建てるビルだけ」とフィッシャー氏の弁。まあ、仰る通りです!そしてドバイの次はモスクワ、ニューヨークにも建設する予定とか・・・・私はこうした天に天にと向かって続々と建設される超高層のビルのを見上げるだけなのだろうか。


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このページは、ichikoが2008年6月25日 23:06に書いたブログ記事です。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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