都内四館と大阪市内一館での公開が決まっていたにもかかわらず、右派や右翼が「反日映画」だと大騒ぎをして、圧力がかかり、突然の上映中止となったドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」を都内の某映画館で観た。
  朝一番というのに、ええっと驚くほど長蛇の列だ。朝とはいっても、蒸し暑い。汗をぬぐいながらなんでこんなにも多くの人が関心を持つ映画なのか・・・とちょっと溜息。館内も流石に混雑していた。結局、最前列でスクリーンをウワーンと見上げる姿勢となった。
  しかし実際は別段大騒ぎするほどの事もないなと思った。ほぼ2時間の上映。刀匠に敬意をもって描かれている。監督をはじめとして制作スタッフの大半は中国人であるということと、台湾の外省人反日活動家高金素梅さん(しかし美しい方だった・・・・)が制作に関わっているだろうことからいろいろな考え、つまり"反日"という思いがうまれるのかも知れないと思える。
  だが、靖国神社で崇拝されているのは墓碑や位牌ではなく、神社の聖所に飾られている一本の日本刀だということは、ほとんど知られていない・・・・・ということを私もこの映画で知ることとなった。つまりこのドキュメンタリーのテーマは日本刀であり、その日本刀をめぐる武士道の倫理や神道の哲学、戦争の理念とそれによる国民の精神への影響ということだ。
   映画の中で、刀匠の刈谷さんとのやりとりの中、監督の李さんが「休みの時はどんな音楽を聞いているのですか?」という問いに対して刈谷さんが「休みの時の音楽」を「靖国の音楽」と聞き間違いをして、昭和天皇の言葉を集めたテープを取り出したシーンがあるのだが、あれあれ・・・・と思いながらもなかなか面白かった。その中に昭和43年の明治百年記念式典でのお言葉があり、明治維新以来の先人たちからはじまる栄光の歴史こそが日本の歴史認識の問題を考えるときのポイントであるという李さんの考え方。歴史的資料映像を使うラスト10分に全てが凝縮されている映画である・・・と思えた。

カテゴリ

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ようやく「靖国 YASUKUNI」を観た

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://210.196.86.5/~blog_mt/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1363

コメントする

このブログ記事について

このページは、ichikoが2008年8月16日 20:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「終戦記念日」です。

次のブログ記事は「夕陽って・・・」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

プロフィール

ichiko.tv

ichiko.jpg
吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

メール

ご意見・ご感想はコチラまで!

著書紹介

「にっぽんの旨い!を取り寄せる」
食文化研究家・永山久夫さんの全国津々浦々のお取り寄せグルメ100選。「おいしい」の裏側にある生産者の思いにも触れられる一冊。未知の「味」と出会える。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街行列店の秘伝レシピ」
横浜中華街で特に評判の高い厳選29店の味を家庭で再現するためレシピ。秘伝の味を再現するためのコツや工夫を惜しみなく公開。プロの味が家庭で再現できるか?について検証した。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街オフィシャルガイドブック2005-06」
独立して初めて関わった思い出のガイドブック。横浜中華街発展会協同組合の325店全店完全取材! 「食」と「文化」、「歴史」そして華僑・華人の「生活」に触れられるオフィシャルガイドブック。あの燃えるような夏の取材の日々は良かった。
価格950円(税込み)

「和食のいろは」
和食のおいしさを支える基本をあらゆる角度から紹介。プロに教わる目利きのコツから料理研究家直伝の和食レシピ満載。ずっと会いたかった道場六三郎さんをインタビュー。
価格1,470円(税込み)

「マヨネーズってわっはっは」
 親友のかっちゃんこと小林カツ代さんのマヨネーズを使って驚きレシピを紹介。遊び心がいっぱいのレシピや薀蓄も盛りだくさん。
価格1,470円(税込み)

「浅草散歩ガイド」
一カ月に一回は必ず遊びにいく浅草。路地裏は最高。どうしても「浅草のガイドブック」を作りたかった。浅草今昔物語から「食べる」「歩く」「憩う」「買う」浅草が満載だ。
価格1,260円(税込み)

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31