ch12.その他 : 疲労困憊 |
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朝、私は本当に久しぶりにその女性と携帯で話をしていた。「いち子さん、こんな理由で会社を辞めるなんて・・・全く考えていなかったから・・・」と声の抑揚を聞きながら、彼女の顔を思い出していた。明るくて頑張りやの女性だった。
会社を辞める理由か・・・・と私自身、反芻していた。はれて定年退職で"お世話になりました"という場合を除いて、"理由"はいろいろあるものだ。福田総理ではないが、自分を本当に客観的に見られる人間など、私はそうはいないと思っている。しかし、彼女の話を聞く限り、何とも言えない気持ちになる。理由がやはり「こんなこと」なのだ。理不尽以外なにものでもない、そんな理由。
「いち子さん?今も仕事しているんでしょう?」と彼女が言うので、「去年ね、会社を設立したのよ」と言った。電話の向こうでちょっと"間"があった。そして「私、テンションはいつも高いから~」とはいうものの、やはり闘い続けて、「あっ!もういいか」と会社を辞めた、そんな勢いを感じた。相当、疲労困憊していたんだろう・・・・どうしても納得いかない時の勢いというものを。「過去」は「過去」である事を認め、忘れて前に進むしかない。電話の向こうで「またね!」という彼女の言葉が静かに消えて言った。
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