随分前にタバコはやめたのだが、お酒はどうしてもやめられない。アル中ではないが、飲まない自分を想像しただけで、何か胸の奥で何かがしくしく泣いている。哀しくなるのだ。しかし、お酒もそうなのだが、食事にしても10代の若者でもなければ、また激しいスポーツをしたり重労働でもしなければ、節制したほうがいいに決まっている。時折、グルメの友人のおなかを見ながら「あっ・・・・・ぁぁぁぁ」と思うこともある。
  先般、昔の仲間が何を血迷ったか?昔々その昔の写真などを持ってワイワイしはじめた。そこには、「誰?一体誰?」という若き日の姿があるわけで・・・・・・。「いち子さん、とうしたの?」なんて今さらいわれても「スミマセン」と言うだけだ。
  さて、理性的に?節制を始めて約2ヵ月が経過した。決して、無理はしていない。無理に食べることをやめただけただ。昔から"腹八分目"とはいうが、腹七から六分目くらいにしている。無理にマヨネーズやケチャップやソースもかけるのもやめた。素材の持つ味を楽しむようにしてみた。例えば大好きなブロッコリーも茹でる時に使う塩味だけ。やっぱり、「最高だよね~」とウキウキとマヨネーズつけるのもやめた。不思議となれるようになった。
  先日も、ある仕事の打ち合わせで食事をした時、その店で出してくれたよく煮た大根の"味"の異変に気付いた。何かが違うことが分かった。おそるおそる大将に伝えると、それを少し口に入れ「やややっっっ申し訳ない!」と言う。「いいんですよ」と何か気まずさを覚えた。言わなきゃ良かったとも思った。しかしそのまま残すことの方が良くない。「店始めて30年近く経ちますが、いやぁ、申し訳ない、申し訳ない」と大将が言う。「いいんです、いいんです」と、また気まずさでビールを飲み干した。


  要は節制を始めて、「舌」が変わってきた気がする。今まで気がつかなかったことに気付くようになった。そんな感じだ。不思議なことだと思う。
 そんな中、「食事をしながら、ちょっと今後のプロジェクトの話を」と言うことになり、牡蠣専門店にご招待された。牡蠣は本当に好き。昔、一度、あたったことがあり、うーうー唸りながら、半日入院した辛い思い出があるが、やはり好きでしようがない。
  所謂、産卵期に牡蠣は精巣と卵巣が増大するので食用とはならない。春から夏に旬を迎えるイワガキもあるが、昔から英名に「R」のつく月は美味しいと言われる。いよいよ旬なのだ。そして、この日は広島県の沖ノ島ヌーボーという牡蠣を食べた。"ヌーボー"という名前が気に入った!名前の通りの牡蠣!香りがよく、甘みがかり、それでいてさっぱりしている。他のメンバーは専用のソースやレモンを絞ってかけていたが、今回も私は何もかけず、そのまま潮の香りと牡蠣の甘さを愉しんだ。そして、冷えた辛口の白ワインが牡蠣の甘みをひきたてて旨い。皆、静かに牡蠣の旨さを味わっている。人は美味しいものの前で実に寡黙である。


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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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