ch11.経済 : 継続するということ |
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とにかく、厳しい。特に身近なところでは広告業界。先輩が大手二社の広告代理店の数字をざっくり教えてくれた。「兎に角、気をつけろよ。本当に冷え込んでいるからなっ」と言う。華やかな業界にも陰か・・・・。大手広告代理店でさえ、ましてや・・・・という意味だ。
「お金とは、手にとった時こそお金だから」と社会人になりたての時に今はなき実父が言っていたことを思い出した。「決して決して人に迷惑をかけるような生き方だけはするな」と、これが父が最も私に強く言ったことだった。今に思えば、信頼している人間からの裏切りによる多大なる損失と被害をうけた頃だった。今のようにこんなにも冷え込んだ時代ではなかったものの。人の世とは思うようにはならないものだ。特に「お金」が絡むと。
「冬のボーナスなんて大幅カットだよ。すごいぞ。きついよなあぁ」と先輩が日本酒を飲みながら苦笑した。私は独立してからは"ボーナス"なんて存在も感覚が全くない日々だが。しかしボーナスが出る会社はまだいい。「今は本当にきつい会社が大半ですよ」と言うと「そうだよな・・・・」と先輩が再び苦笑している。
この日、馴染みの串焼き屋の大将の手には湿布がはられていた。「もうトシですかねぇ」と大将が言う。串うちしてもう40年近くになる。一日300本の串うちをするらしい。これがもう何年も何年も続いている。「もう板前から数えて50年かな、もう金属疲労ですよ。そろそろかな?」と笑った。みんな「そんな事ないですよ」といいながら笑った。出来合いの串焼きを決して使わない頑固一徹の大将も70近い。「嫁に行った娘ふたりだからねぇ、この店は俺で終わり!」だと言う。ここにも跡継ぎ、後継者のいない店があった。
日本の産業のきもはまさに「技術力」。例えば、日本の伝統工芸の世界だって跡継ぎがいなくてなくなっていく。大半の中小企業が潰れていく原因のひとつに後継者がいないということだ。「出来る限り、頑張りましょう!」なんて、程よい酔いの世界では口にも出せるが、本当に深刻な時代に日本は突入している。
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