明け方、不思議な夢を見た。第6代・国鉄の総裁だった磯崎 叡さんが出てきた。
私たちは屋台のようなところに並んで座っていた。
  「前に言った通りなんだよ。あの事件〔下山事件〕前夜に僕と飲んでいたんだからね」と言う。私はずっと沈黙していた。そして「下山さんはね、あの人は自殺するような人じゃないんだ」と強く言った。これは、生前、一度聞いたことがあった。

  磯崎さんには新聞社勤務時代に、大変可愛がってもらった。当時、新都市開発センターで社長をされていて、サンシャインシティの仕事では本当に世話になった。「君に任せるよ」といわれた仕事に私はいつも真剣勝負だった。

  引退されて。1997年の6月に亡くなった。体調を崩されているということを聞いてまもなくのことだった。訃報を聞いた時、本当に愕然とした。全身から力が抜けていった。

  「あの日も列車は定時だった」というご著書が手元にある。一枚、手紙が同封されていた。「謹呈   長らくご無沙汰いたしました。さて冥土も近くなりましたので罪滅ぼしに履歴書をまとめました。昨年、日経新聞に書いたものに二、三追加したものです。お笑い草にお届けしますので御覧下されば幸と存じます。 磯崎 叡」

  夢の中の磯崎さんは「言った通りなんだよ」と何度も確認するように言い、すっと席を立った。「あっ、どこへ行くんですか?」と私が慌ててたずねると静かに手を振ってふーっとどこかへ消えてしまった。

下山事件(しもやまじけん)
1949年7月5日、時の国鉄総裁・下山定則(しもやまさだのり)が、出勤途中に公用車を待たせたまま三越日本橋本店に入り、そのまま失踪、15時間後の7月6日午前零時過ぎに常磐線・北千住駅―綾瀬駅間で轢死体となって発見された事件。松川事件、三鷹事件と共に、国鉄の戦後三大ミステリーの一つとして知られている。
現場を零時20分頃に通過した第869貨物列車によって轢断されたことが判明したが、遺体の司法解剖をおこなった東京大学法医学教室の古畑種基教授と慶應義塾大学の中館教授の鑑定方法の結果、他殺・自殺両説が対立し、法医学界を巻き込むこととなった。
捜査本部でも「自殺説」「他殺説」が二分したが、結局「自殺説」を取り8月4日に発表した後、本部を解散した。しかし、この下山総裁事件がきっかけとなり、国鉄では一気に人員整理が加速したこと、その他の企業においても人員整理が成功しGHQの思惑通りになっていった。このため、GHQの関与を示唆する見方もいまだに根強くある。
当時の国鉄ダイヤは進駐軍の物資輸送が最優先され、列車の時刻を自由にコントロールできるは当時のGHQであった。ということで事件の背後にGHQが見え隠れするのだ。今日にいたるまで明確に自殺・他殺の決着がつかないまま、事件は謎に包まれたままとなっている。

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このブログ記事について

このページは、ichikoが2005年1月25日 07:21に書いたブログ記事です。

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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