この半年前くらいから、妙に手が痺れるようになった。そして、この1ヶ月の間にかなりの痛みが、特に左手にはしるようになった。そんな痛みを感じながら、妙な想像をしてしまう。
実父は小脳が出血し、亡くなるまでリハビリが続いた。そして実母も突然のクモ膜下出血で3日の入院生活の後に亡くなった。最近は、「家系」とかDNAをつくづく感じるのだ。自分のいいところ、いやなところ、何故か親に似ていると感じてしまうことが多い。

  不安感いっぱいになって、かかりつけの医院へ行く。
「先生、もしかして、この痺れと痛みは脳梗塞の前駆症状ではないですか!?」というと医師は「僕だって左手がずっと痺れているんだ」と言い、それからは矢鱈に長い解説が始まった。
説明を聞きながら、深いため息をついている私を見て、医師は「じゃあ、安心のために画像診断をしておこう」と言ってくれた。

  約100年前、レントゲンがエックス線を発見し、骨の形が撮影されるようになって「見えなかったものが見える時代」に入った。そして、20世紀の後半にはCT(computed tomography;コンピューター断層撮影法)、MRI(magnetic resonance imaging;磁気共鳴画像)で、脳の中や体内を画像として見る検査法が進歩した。実に飛躍的な進歩なのだ。脳の中の構造を見ることができ、脳出血・脳梗塞・脳腫瘍などの病気の発見ができるなんて!なんて凄いんだ?

  先日、ある介護をテーマとしたシンポジウムで、女性の方がアルツハイマーになりやすいなどということを聞いた。几帳面に過ごしている人が、急に呆けるという話もあった。自分の意思とは関係なく、脳の異常は人格さえ奪い取ってしまう。
心配が心配をよぶ。そんな話の後に、再び、左手に痛みがはしり、痺れる。暫くは右手のみでパソコンをうち原稿を書く日々が続いた。

  検査の当日。まるで、工事現場の中に頭を突っ込んだ感覚。これは一体、なんなんだ?
「もう、イヤだ!イヤだ!イヤだ!」と思っているうちに・・・・・なんと、私は熟睡していた。

「吉田さん、吉田さん、終わりましたよ」と先生に起こされた。・・・・・実に恥ずかしい。
静かに上たいを起こした。もしや、大鼾でもかいていたのではないか?思えば思うほど恥ずかしい。それで、ちょっと気だるそうに演技してみた。
  
  画像を見ながら「異常ないね」と淡々と医師がいう。あっという間だった。もしや?もしや?と不安をかかえた1ヶ月間。「有難うございました」と言い、病院を出る。しかし、正直「ホッ」なのだ。検査の間、大鼾をかこうが、涎たらして熟睡しようが、どうであれ、不安はどんどん解消していったほうがいいのだ。

そして、その夜、私は泥のように眠ってしまった。

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このブログ記事について

このページは、ichikoが2005年3月18日 20:09に書いたブログ記事です。

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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