ichiko : 突然の死とは |
||||
日曜日の朝。夫が郵便受けから一通のハガキをとってきて渡してくれた。「誰かが亡くなったようだね」といいながら。
差出人は知らない男性の名前。ふっと裏面を見る。「妻がクモ膜下出血のため亡くなりました。今、私の側にいます。私が生ある限りは妻を今後も護っていきます」と書いてある。近くに立ち寄ることがあれば連絡を下さいと。
その妻の名前が一瞬、思い出せない。どんなに考えても思い出せないのだ。私の頭の中に、その「本名」がぐるぐる回る。どうしたのだ!?と自分に問いかけ続けた。
ふと、冷静に傍らの芸名に気付き・・・・唖然とした・・・・・ああ!何てこと!
「もし、私が急死したら、誰に連絡する?」と私は夫に聞いた。彼は本当に困った表情で、「全く分からないな。とりあえず年賀状を整理するかな・・・」と答えた。
組織にいれば、それなりに連絡網が出来上がる。組織にいたとしても、定年で組織を離れた瞬間に全ては失われる。かつ、フリーで仕事している人間の連絡網ほど難しいものはない。本人しか分からない「世界」「人間関係」があることに気づく。
「そんなことがあったら、パソコンのメールアドレスにある人に業務連絡しておいてくれればいい。あとは・・・」とはいうものの、仕事関連の分類が多岐にわたり過ぎている。ため息が出てしまう。
「あとは?何?」と娘が尋ねた。
「あとは、プログにアップしておいてくれればいいよ」と私は言った。
「じゃあ、後でアップの仕方を教えておいてね、バイトに行ってくる!夜はケー君とご飯を食べてくる」とあっさり。
彼女の生き生きした横顔が鮮明に思い出される。はりのある声と底抜けに明るい笑い声。昔は仕事の合間に新宿によく飲みに行ったものだ。テレサ・テンの「香港」を本当に上手に歌っていた。
なんて、呆気ないんだ?哀しいよ。
お別れの言葉をかけてこよう、人生で彼女に出会ったことに感謝しつつ。
レオナさん、安らかに。。。。。
コメントする