ch05.エンタテイメント : 114分で出会った9人の「美しい人」 |
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6月末公開予定の映画「美しい人」の試写を見た。『彼女を見ればわかること』で一躍注目されたのロドリゴ・ガルシア監督の最新作だ。
上映時間は1時間54分。ワンシーンがワンカットで展開される。サンドラ・ダイアナ・ホリー・ソニア・サマンサ・ローナ・ルース・カミール・マギー・・・9人のアメリカを代表する女優たちが9つの愛をめぐって物語繰り広げられる。撮影期間は9人の人生がそれぞれに2日ずつを要した。つまり18日間だったという。
9人の女性が人生における「ある瞬間」を凝視する。一瞬の表情に観客は引き込まれ、いつの間にか、美しい人の切なくも美しい物語の中に溶け込んでしまう。
傷ついた宝石が、そこにより光をためて輝きを増すが如くに、それぞれの人生の傷をも受容する彼女たちが描かれている。
会話。いい会話の数々。第2話。ロビン・ライト・ペンが演じるダイアナ。スーパーマーケットで偶然にも昔の恋人と出会う。思い出話から差しさわりのない話に終始する二人。ダイアナがふと漏らした言葉が私の頭の中からはなれない。貴方の存在が私を呑み込んでしまう?嘗ての恋人は「君を今でも一番愛している」と陳腐な言葉を放つ。もう、戻らないのだ、あの時の時間には。一度手から離れたものは二度と戻らない。ダイアナは買い物も忘れ、闇に包まれる恋人の影を追う。立ち尽くすダイアナ。しかし、彼女は自分の身体に宿る鼓動に愛を見出す。
久しぶりに全編の脚本を読んでみたい、そんな映画だった。
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