ch12.その他 : 元気でいること |
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急に朝夕寒くなった。「もうこちらは真白ですよ」と電話の向こうで金沢の人が言う。寒くなったと言っても東京ではまだ「ええっ?」という感覚か。
今頃になると毎年思い出すことがある。いや、思い出す人がいる。社会人になってから知り合った、親友の事。ちょうど、こんな季節。朝夕寒くて、それで結構日中は暖かくて。動き回れば汗ばんだり。
「漸く、一段落したから、銀座でランチしようか」と彼女から急に電話があったあの日。もう随分昔になってしまった。出張続きでなかなか会えなくて、手帳のランチアポは何回も変更された。やっと時間が出来た。ここにしようかと考えて行ったレストランは混雑していた。ふっと目に入ったレストランに入った。相変わらず計画性ないねって言いながら。つもる話しをした。そして、お茶を飲み、「次は忘年会かなあ」と言って4丁目の交差点で別れた。夜には共通の友人のカメラマンと会うと言っていた。じゃあ、忘年会を企画してと伝えてと言った・・・・・何もかもが普通の生活のひとこまだった。翌日の朝、彼女の急死を知るまでは・・・・・
理化学研究所免疫制御研究グループがアレルギー性ぜんそくなど気道過敏症を引き起こす細胞を突き止めたという。ぜんそく治療薬の開発に向けて大きな前進だというニュースを読んで、友人のあっけらかんとした笑い声と笑顔を思い出した。あの夜も急に冷え込んだ。本当に寒かった。彼女の後姿、コートの色をまだ覚えている。
『今後、IL-17RBを発現したNKT細胞の機能を抑制する治療薬を開発することでアレルギー性ぜんそく克服が可能になる』という記事。文字を追いながら何がどうなのか?素人の自分は分からないが、この科学の進歩が何か嬉しく、そして哀しく、そして思わず友人の名前を呟いてしまう。兎に角も、元気でいること、それだけだ。
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