ch12.その他 : めでたくもあり めでたくもなし |
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一年の締めくくりとして、毎年、暮れには墓参をする。正月に郷里に帰って・・・という方も多いが、東京生まれ東京育ちの自分には「郷里」とは頭の奥の原風景しかない。築地で生まれ、 麹町で育った。小学校にあがるときは小石川だった。しかし、今、その土地を訪ねても変わりすぎて、何も分からない状態だ。しかし、頭の奥にはしっかりと思い出は残り、時折、心の奥で何かが弾ける。
静かな墓地。見上げると抜けるような青空。鳥の啼く声しか聞こえない。墓前でこの一年の報告をする。何があってこんな人に会って、こんな仕事をして、家族は・・・・しかし、60代で亡くなった両親のやはり早すぎた人生と、孝行の足りなかった自分を反芻する。そして人生にたらればは無いが、生後間もなく亡くなったという兄が生きていれば、今何を考え、どんなことをしていたのだろう?なんて"亡くなった児のとし"を数えてしまう。正月を前に、「新年を祝う意味」そして様々なことを教えてくれた両親や先祖に感謝だ。今、こうしてまがりなりにも元気で生きている自分は、すべて先祖代々ありてこそと再認識する。
「今年こそいいとしでありますように」と思い、ただ漫然と過ぎてはいないだろうか・・・・・
「門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と室町時代の一休禅師の詠んだ歌は、そんな漫然とした気持ちに響く。いつまでも続くことのない命だからこそ、無常の中であっても可能な限り燃焼していこう。
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