ch12.その他 : "時"の堆積 |
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『日経ビジネス』(2009年10月5日号)の特集記事に惹かれ、ぱらら~とページをめくったところ、伊藤忠商事の社長・小林栄三の「会議は5分前集合を徹底」という記事が目に入った。小林さんは、よく抜き打ちで社員の会議に参加されるそうだが、例えば100人の会議なら開始前にきているのは30人程度、残りは開始時間丁度に来たり遅れてくるので思わず「入り口のカギを閉めろ」と言ったことがあるそうだ。何をそんなに、かたいことを・・・・と思う人もいるだろうが、5分10分でも早めに会議を終わらせる努力をされていると言う。その分、自由に時間を使える、また余った時間で他の仕事も出来るだろうという経営者の心配りというものだろう。100人の会議で5分遅れたら掛け算で500分の無駄が発生したことになると小林さんは言う。徹底している。なかなか出来ない事である。
日々、当たり前のようにあると思っている"時間"。しかし時間とは掛替えのないものである。
ふと、この記事を読んで理不尽に振り回され、理不尽な時間を過ごしてきた足利事件の菅家利和さんの事を思い出した。5日に幕田英雄検事正と面会。起訴し、長きに渡り服役させ苦痛を与えたことを謝罪した。検察側が菅家さんに直接謝罪するのは初めてだというが。幕田検事正は、弁護団が「もういいです」と言うまで頭を下げ続け、謝罪は30分間続いたと言う。菅家さんが「冤罪を二度と出さないでください」と訴えると、幕田検事正は「再発防止に取り組みます」と応えたそうではあるが、理不尽な時間は堆積して年月となった。苦しみの日々だったと思う。緊張した表情の菅家利和さんの事を思うと私は心がしんしんと痛む。
逮捕、起訴から17年だ。17年という年月。「ようやく許す気持ちになりました」と振り絞る菅家さんの声。この事件に巻き込まれ理不尽時間を過ごした人がいるのだ。菅家さんの事を決して忘れてはいけない。
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