ch12.その他 : 明け方の夢 |
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よく夢を見る。しかし寝ている時に見る夢は自分の力ではどうにもならない。だいたいは忘れてしまうものが多いが、本当にリアルでしっかり覚えているものもある。嬉しい時もあるが、嫌な夢はやっぱり・・・怖いな。
8月24日の明け方、私の名前を何度も呼ぶ声で目が覚めた。見ていたのは、黄色いカンナが咲いている中にいる笑顔のMさんの姿を発見して「ああ、元気なんだね!そうなんだ」と自分の声で飛び起きたのだ。
数週間前に転んで怪我をしたという彼女のことが心配でメールを出した。律儀な人なのに返事がなく、それが何となく気になっている時だった。その日の昼、共通の知り合いから「末期癌で、余命いくばくもなく・・・」と文面だけでは理解不能のメールをもらい、慌てて彼に電話をして聞いた。聞いてみたものの、彼自身もあまりにも急なことで面喰っている状態だったのだ。
今秋、若いひとり暮らしの男性をメーンにした「食育」の社員研修の講師にお願いをしていた・・・しかし3.11以降、事情がガラリとかわった。キャンセルの事情を話すと「いいのよ~こうしたことはよくあることなのだから、気にしないでよ~」と彼女は言った。私の手元に大量に届けられたプロフィルをはじめ多くの資料を手にしながら「この資料は返そうか?」と聞くと「いいのよ、いいのよ、またの機会に使ってちょうだい」と彼女は笑ったのだ。
25日の夜、仕事が一段落するやいなや、私は病院へ向かった。そこには痛みに耐える彼女がいた。「いち子ちゃん、ありがとう、ごめんなさいね、痛いの、痛いの」ととても苦しそうだった。ほんの数分の面会だった。私は看護師さんに挨拶をして、病室をでた。「また来るから」と言い残して。でも帰りの電車の中で胸は張り裂けそうに痛んだ。こんなことって・・・と、Mさんのいろんな思い出が頭の中を過ぎ去っていった。いつもクルマをぶっ飛ばし、元気印の彼女。元気以外の言葉が見つからないほど元気な人。
「死と定年だけは予期せぬものではない。これだけは誰にもいつかは一度くるものだから別に悲惨だったり苛酷だったり不運だったりするものとは言えない・・・・」曽野綾子さんの『自分の始末』の一節を思い出す。
今週末、関東には台風が接近するという。なんと・・・そんな時期にかと思いつつ、台風の中の葬儀か?彼女らしいねと涙が滲む。今まで本当にありがとうございました!そして安らかに!
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