ch02.健康 : 齢90を超えても

  店の女将がカレンダーを一枚めくり「あらもう一年も終わるのね」と呟いた。街では2009年の手帳やカレンダーが売り出されている。本当に女将のいうように、もう2008年も終わろうとしている。何か気忙しいのはそんな時期だからなのか?いや違うだろうと思っているのだが・・・・・。


  ある日、若い女性の携帯を閉める音が気に入らないと高齢のご婦人が文句を言い始めた。若い女性はキョトンとしていたが「関係ないでしょ!」という風な表情をした。それがまた、気に障ったのか、次第に激しい叱責となっていった。
  また、別のある日の事。シルバーシートに座っている高齢のご婦人を、同じ年頃か?高齢の男性が一瞥した。その視線がやはり、気に障ったのか、「どういう意味だ!」とご婦人が怒りだした。激しい怒りは続いた。 
  二つのシーンはある日のバスの中の出来事。他に何人もの乗客がいたというのに、私も含めて、みな押し黙ったままでいた。その中にはいることはなかった。いずれ、怒りもおさまるだろうと期待しつつ。しかし、何があったのだろうか?本当にふたりのご婦人方の怒りはおさまらずであった。何をあんなに苛苛していたのか・・・・・・
 

  病院の待合室で隣りの女性に声をかけられた。最初は意味が分からなかったが、どうもマニキュアをしている私の指の事を言っている。自分と同じだと。どこかの先生が、お洒落の為に、元気になるわよと言われ、そのピンクのマニキュアをしてくれたと言う。小さな爪に透明なピンクのマニキュアが可愛らしく塗られていた。「もう91歳になるのよ」と言う。「まあ!!」と私が驚くと、ご満悦のようであった。詩吟が趣味でこの間は詩吟の発表会に出たのだと言う。毎日、食事づくりも洗濯も身の回りの事は、全部自分でしているのよ!と話す。大笑いしていた。耳もよく聞こえるし、どこもカラダは悪いところはないのと・・・・・では、どうして病院に?とも思ったが、とても嬉しそうに身奇麗にしているおばあちゃまを見るのはとても嬉しい気持ちであった。高齢のご婦人という言い方はしたくない方だった。"おばあちゃま"と呼びたくなる方だった。
  元気でいれば私も91歳なんて年齢をこんなに元気にそして身奇麗に迎えることができるのだろう。ほっとあたたかい気持ちになった。

カテゴリ

, ,

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 齢90を超えても

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://210.196.86.5/~blog_mt/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1451

コメントする

このブログ記事について

このページは、ichikoが2008年11月 5日 08:56に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「季節の移ろいを感じていたい」です。

次のブログ記事は「街は変わる」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

プロフィール

ichiko.tv

ichiko.jpg
吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

メール

ご意見・ご感想はコチラまで!

著書紹介

「にっぽんの旨い!を取り寄せる」
食文化研究家・永山久夫さんの全国津々浦々のお取り寄せグルメ100選。「おいしい」の裏側にある生産者の思いにも触れられる一冊。未知の「味」と出会える。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街行列店の秘伝レシピ」
横浜中華街で特に評判の高い厳選29店の味を家庭で再現するためレシピ。秘伝の味を再現するためのコツや工夫を惜しみなく公開。プロの味が家庭で再現できるか?について検証した。
価格1,470円(税込み)

「横浜中華街オフィシャルガイドブック2005-06」
独立して初めて関わった思い出のガイドブック。横浜中華街発展会協同組合の325店全店完全取材! 「食」と「文化」、「歴史」そして華僑・華人の「生活」に触れられるオフィシャルガイドブック。あの燃えるような夏の取材の日々は良かった。
価格950円(税込み)

「和食のいろは」
和食のおいしさを支える基本をあらゆる角度から紹介。プロに教わる目利きのコツから料理研究家直伝の和食レシピ満載。ずっと会いたかった道場六三郎さんをインタビュー。
価格1,470円(税込み)

「マヨネーズってわっはっは」
 親友のかっちゃんこと小林カツ代さんのマヨネーズを使って驚きレシピを紹介。遊び心がいっぱいのレシピや薀蓄も盛りだくさん。
価格1,470円(税込み)

「浅草散歩ガイド」
一カ月に一回は必ず遊びにいく浅草。路地裏は最高。どうしても「浅草のガイドブック」を作りたかった。浅草今昔物語から「食べる」「歩く」「憩う」「買う」浅草が満載だ。
価格1,260円(税込み)

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31