ch05.エンタテイメント: 2011年2月アーカイブ
ch05.エンタテイメント : スピーチ |
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トム・フーパー監督の「英国王のスピーチ」が米アカデミー賞の作品賞獲得。それに監督、主演男優、脚本賞までも受賞した。
エリザベス女王の父ジョージ六世は幼少の時から吃音障害を抱えていた。そんな障害から内気な性格であるジョージ6世だが、妻のエリザベスは母のようなあたたかい愛で見守る。実に行動的な女性だ。彼女と言語療法士のローグの助けを借りて、ジョージ六世はついにその障害を克服していく。歴史の裏側というか、例えば父親の死の後に王位を継いだ兄・エドワード八世がひきおこしたシンプソン夫人事件などいろいろなエピソードを知っていればそれだけ面白さが増す歴史ドラマである。
しかしそんな兄弟の関係の中で、否応もなしに王にさせられた弟ジョージ六世を待つ緊迫した社会情勢。ドイツとの開戦前夜に国民に語り掛けるスピーチが人々の心を打たずにはいられないものとなる。勿論、役者たちの演技もさることながら兎に角、脚本がいい。
英国王のスピーチ
ch05.エンタテイメント : 二人の芸術家 |
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加藤健一事務所の『コラボレーション』(作・ロナルド・ハーウッド、訳 小田島恒志、小田島則子 演出 鵜山仁)を観る。2002年の「戦場のピアニスト」でアカデミー賞受賞、舞台「ドレッサー」でも知られる英脚本家、ロナルド・ハーウッドの作品。映画同様に今回の新作は戦時下に、ドイツの作曲家、リヒャルト・シュトラウスと、オーストリアのユダヤ系作家、シュテファン・ツヴァイクの二人の芸術家のドキュメンタリー劇だ。シュトラウスを加藤健一さん、そしてツヴァイクを福井貴一さんが演じている。またナチスの将校・ハンス・ヒンケルの役を加藤健一さんの息子の加藤義宗さんが演じているのもなかなか!
シュトラウスとツヴァイクの二人が生んだ唯一の歌劇「無口な女」はすんなりとは世に出ない。何故って?台本を書いたのがユダヤ人であるからだ。ナチスの理不尽ともいえる圧力の中、第三帝国音楽局総裁の職を引き受けたことで1935年に初演にこぎ着けることができた。絶大な権力の前で、家族を守るためになすべきことは?まさに抵抗か迎合であるのだが、その時代に多くの人々は飲み込まれていく・・・。
公演は2月27日(日)まで新宿・紀伊国屋ホールで。加藤健一というと本多劇場で出かけてしまいそうだが紀伊国屋ホールです。紀伊国屋サザンシアターではないのでご注意を・・・慌てて間違ったのは私だけか?