ch04.カルチャー: 2006年5月アーカイブ
ch04.カルチャー : 大人のための「紙芝居」 |
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劇団民藝の女優さんの有安多佳子さんから「紙芝居の読み手をやります。お時間あれば是非」とお誘いを頂いた。「紙芝居」などもう何十年も見ていない。
作者は陶芸作家、イラストレーター、建築家といういろいろな職業の方々が描いた大人のための紙芝居だ。
会場となったのは北青山の神宮球場近くにある「ギャラリー&ビストロ 水瓶屋」。外苑前にはラグビー観戦にはよく来ているのだが、この店は初めて知った。静かな小路にある山小屋風のなんとも落ち着いたギャラリーだ。
鍛えられた有安さんの声は透き通るほどに綺麗だ。鍛えられた「日本語」の美しさを久しぶりに身近で聞いた。朗読会とまた違った、ある感動。一枚の「紙」から「紙」へとうつる時へのイマジネーションというのだろうか。大人になるにつれて。忘れていったどきどき感というものか。
今、ベストセラーになっている藤原正彦さん著『国家の品格』で、藤原さんが熱く語るメッセージ。「日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語・・・・・」の一節を思い出した。数学者でもある藤原さんは「日本人はあくまでも日本語でものを考えているのだ」ということを力説している。バイリンガルと騒いで、矢鱈と英語教育、英語教育という風潮もある。しかしその前に「美しい日本語」がこの国には存在していることを学ばないといけない。
6編の作品が読み終えられた時、私は娘たちに見せてあげたいと思った。「日本語」の持つ優しさと美しさにもう一度気づいて楽しんでほしい、そんなことを感じた夜だった。