ch04.カルチャー: 2010年12月アーカイブ
ch04.カルチャー : やはり記録することは大切だね |
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映画「武士の家計簿」が好評ということだ。江戸時代から明治時代にかけ30年以上絶え間なく書き付けられた、ある武家の家計簿。その30年という年月を考えただけでも家計簿三日坊主の自分としてはぞっ!とする。
たまたまその古文書を神田の古書店で発見した著者。ここがまた凄いのだが。それも幕末の激動期の武士の生活習慣、伝統、因習がつぶさに分る。江戸から明治という時代に変動するあの時間を体験した者たち。それだけで身震いしてしまう。
よく「この映画はどう思う?ねえ?」と聞かれる。この「武士の家計簿」も聞かれた。そして「なんか眠くなって殆ど見なかったよと友人が言っていたけど」とくる。私は、仕事でもなければ、たいがい映画も旅行も一人でいく。感性というのか、違う人間と同行すると余計な情報が入ってくる。だからいつもこういう質問をする人には「先ず、自分で見てみたらどうか?」と言う。別段レポート提出でもなければ気楽に見ればいい、それだけだ。
物心ついた時から「武士はくわねど高楊枝」という事を、耳にたこができるほど聞いていた環境で育ったものかこの映画を見て、私自身は大変面白く感じ、感動した。監督・森田芳光さんというとつい「失楽園」をつい思い出してしまうが、あの時は「えぇ~?」であったのだが、今回の作品は私自身の感性にはフィットするものがあった。磯田道史さんの「武士の家計簿」加賀藩御算用者の幕末維新を読んでみてから映画を見てもよし、また逆でもよし。とにかく「どう思う?」と聞いてから映画を見るのはどうかな?そう思うよ。
映画「武士の家計簿」
ch04.カルチャー : 「十二月」 |
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友人の劇団民芸の女優の有安多佳子から誘われて劇団民藝公演『十二月 下宿屋 四丁目ハウス』(作 小山祐士 演出 高橋清祐)を三越劇場へ観にいく。舞台は大恐慌のさなか昭和の初頭である。出演の奈良岡朋子、樫山文枝、日色ともゑなど豪華な女優陣。創立60周年を締めくくるに相応しく、また奈良岡さんはこれが劇団公演出演100本目という記念すべき舞台である。
大きな会社の要職を辞して学生相手に本郷で下宿屋を始めた夫婦。エリート官僚の弟が財閥令嬢との結婚の為に兄夫婦にその下宿屋の廃業を迫る。下宿屋で繰り広げられる数々の思い・・・そして仄かな男女の想い。
丁度、季節も12月である今と重ねて舞台を観ていると喜びも悲しみも恋模様もいつの世の変わらぬものだと思われた。しかし、時代はファシズムの中にあり、どうにもならない理不尽さ。劇場を出ると、改めて日本語の美しさに感動した。本当に美しい日本語は日本の文化そのものである。