社会問題: 2010年3月アーカイブ

社会問題 : モンスター


  先般、某所で団塊モンスターの話しになった。一時期、盛んにいわれたモンスターペアレンツのように理不尽なことを言うわけでもないらしいのだが・・・。

  ところで、先日、スーパーで買い物をした時の事。荷物をまとめようとカウンターに行ったところ、店内のコーナーのところでお客さんらしい男性がなにやらグタグタと言っている。その男性の前には30代~40代とおぼしき男性が頭を下げている。店長か?まあその店の責任者なのだろう。グタグタ何かを言っている男性の方は50代かまたは60代か?。よくは分らないのだが、兎に角一方的に文句を言っているようだ。しばらくすると、その担当者に「それでいいと思っているのか!」と声高になり、怒り始めた。お辞儀の角度が気に入らなかったようだ。「こうだ!こうするのが当たり前だろうっ!」と自分がお辞儀の仕方をして見せている。深々と。その後に担当者は相手がしたように、深々とお辞儀をした。話しの内容はまったく分らない。もう少し聞いていようかと思い、商品をゆっくり~ゆっくり~と詰めていたのだが、さすがに詰め終わり、その場を立ち去ることにした。
  
  別の日に元流通の会社にいた友人にこのことを話し、お客のクレーム処理の事を聞いた。「そりゃぁ専門の部署があって、プロ中のプロが対応していましたよ」と彼は言う。「しかし大変な仕事よねぇ」と言うと「もう、懐がふかいというか・・・僕には絶対に出来ないなと思える仕事ですよ~」と言う。しかし、消費者のクレームは対応方法があとあとまで響くものだ。結構、担当者=企業のイメージにもなってしまうものだ。

  今日は朝から良い天気である。サクラもいよいよ見ごろだ。スーパーにいたあの男性は今、どうしているのだろう?っと思う。そして結局、担当者の人はどれくらいの時間を対応処理に費やしたのたかと思う。しかし、いつの時代も人の心とは不可思議であるというしかないな。

   厳しい雰囲気で警察官が銀行内に立っていて、「なになに?」と思う時があった。最近では振込みの手続きをしようとすると確認するような画面まで出てくる。それほどに振り込め詐欺が多いのだと聞いた。しかし、この振り込め詐欺を上回って被害が増えているのが、高齢者を狙った海外投資にまつわる話しらしい。やはり、なんだかんだと言っても高齢者はお金を持っている。「私は大丈夫!」と思っていても、この異常ともいえる低金利時代。そして「まもなく年金制度は破綻する」などと言って年金制度への不安をあおられる。そんな中で、元本保証や高配当をうたった甘い投資話にフラフラきてしまうようだ。はっきりいって海外事業への投資話など実態が如何に把握しにくいか、冷静に考えれば分りそうなのでが、やはり狙われた獲物は捉われてしまうのだろう。

  「中国の好景気を見逃すことはない」とゴルフ会員権の話。またよく聞くのが財宝を積んで沈没した船の引き上げ事業、植林による地球環境への貢献事業、海外の鉱山採掘事業など、一瞬"夢"も感じてしまう話しだ。しかしみんな嘘。虚偽の資産形成話だから注意が必要だ。だが、騙す方と騙される方。騙された側は騙されたと気付くまで騙され続ける。この関係は本当に微妙な心の揺れというか。兎に角、うまい話はないとアタマに叩き込んでいたほうが良い。それでも、騙される人は増え続けている。

  入会権という言葉をご存知だろうか。このドキュメンタリーを観た後に、人がその地域で人間として生存していくための根本にある思想であると感じた。
  最近は優れたドキュメンタリー映画が作られてているが、 『こつなぎ』 も素晴らしい作品であった。「小繋事件」について詳細を知らない人でも登場する人物の表情、会話、自然、そして何よりも明治、大正、昭和、平成と厳粛な流れの中の社会矛盾について胸がつまる思いだ。
  「10分あまりでまわれるほどの小繋集落を目の前にした時、3人のジャーナリストの取材記録をまとめるのが私の役目だと思いました」と言う監督の中村一夫さん。その言葉には重みがある。
  既に半世紀近く前に、ドキュメンタリーカメラマンの菊地周氏、写真家の川島浩氏、ドキュメンタリー作家の篠崎五六氏のジャーナリストたちが小繋集落を訪れた時に記録した気が遠くなるほどの膨大なフイルム・写真・テープなどが活かされている作品で、2時間にわたる作品だが完成までに7年間の歳月が費やされたという。
  登場する大学教授の職を投げ打ち彼らのために弁護士なった戒能通孝氏や戒能先生の早稲田大学教授時代の教え子の藤本正利さん。多くの方々が既に故人になっている。そうした人々が住民と一緒になり、理不尽な権力との闘いをしてきた生の姿がそこにはある。
 
  終演後、ふと豊かさの中で何を失ってしまったのか・・・と思った。

ドキュメンタリー映画「こつなぎ」

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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