社会問題: 2009年6月アーカイブ

社会問題 : 死生観

   七年前。「・・・・脳死です」という医師の静かな声を聞いた。余りにも身近にその「脳死」という言葉が辛かった母の死。まるですやすやと眠っているような穏やかな母の顔を見ながら、言葉の意味が理解出来ず、胸の奥が引き避けられる気持ちでいた。
  
  さて、日本人の死生観が変わるのだろうか?と考えた。
  「 脳死が人の死」であり、15歳未満の臓器提供に道を開く臓器移植法改正案が18日に衆院で可決された。いろいろな人がいる。渡航移植を強いられていめ家族、しかし一方では脳死状態でも命を刻み続ける家族もいる。それぞれの立場になって考えれば考えるほど複雑だ。


社会問題 : 時間


  ある会合で、急に出席したいと申して出た人が、当日20分ほど遅刻をした。いや30分近かった。今は携帯電話もある時代。何とでも連絡が出来る・・・・筈であろう。しかし、必死に階段を走っているのかも知れない。それは分らない。しかし20分ちょっとの時間とは実に微妙な時間。その人以外は全て出席している。主宰者が「んー」と溜息をついた。そして苦笑しながら「困りましたねぇ。始めましょう・・・・か」と言う。そして付け加えるように「それぞれの人の時間は大切ですからね。時間どろ・・・・」と言い途中でやめた。そして再び苦笑した。「時間どろ」とは多分「時間泥棒」と吐き捨てたかったのだろうと思った。会議の最中の緊急かどうかは分らぬが携帯電話を受けるために席をたつなど、やはり私たちの日常では「時間泥棒」になることが多い。


  それぞれの人の時間・・・・。自由に使っている時、人はその素晴らしさに殆ど気がつかないものだ。自由に使えなくなった時に、初めて、言葉を失うほど感じるものだと思う。
  平成2年の足利事件をめぐって、再審請求中に釈放された菅家利和さんが栃木県の県警本部で石川正一郎本部長から直接謝罪を受けた。それまでは「絶対に許さない」と目が泪で充血していた菅家さんだったが、17日、「本部長が心から謝っているのを見て考えが変わった。許す気になった」と話していた。
  当時は最新のものであったかも知れないが初期のDNA鑑定は無実の人間を17年半もの時間を苦しめ苦しめた。菅家さんが当時の担当者を絶対に許さない気持ちは痛いほど分る。私も多分一生許さないのかも知れない。しかし石川本部長の「当時の捜査員全員を代表して、自分が悪い」という言葉に、やはり菅家さんは17年もの時間そして今という時間をもがき苦しんで許す気持ちになったのだろう。決して戻らぬ時間だが、検察、裁判官らの誤りは誤りと認め、生きているのなら潔く謝罪をすべきだろう。

社会問題 : 日本語の将来

   インターネットは魔法の箱。昔であったら、いちいち資料を取り寄せる為に先方へ電話をして相手に内容を話したものだった。言葉の意味を調べるのにも辞書をひき、事柄を調べるのに事典が必要だった。しかし、今はその魔法の箱で大体のことは出来てしまう。今、若者は辞書をひけるのだろうか?と心配にもなる。
  「おバカタレント」が何の躊躇いもなく登場、また人気のお笑い芸人たちの「ら抜き」の表現。「別に~」「何か?」と言われそうだが。最近の新入社員は上司との会話を極力嫌がるとも聞いた。尊敬語とか謙譲語って苦手。出来ないよとコンプレックスがあるからだと言う。それが全てではないにしても、コミュニケーションは「言葉」を抜いては語れない。

  「交詢社オープンフォーラム」(産経新聞社・後援)に参加した。テーマは「美しい日本語」。交詢社は明治初期の頃、まだ社交という言葉が十分に使用されていなかった時代 に、福沢諭吉の主唱により、銀座作られた日本最古の社交機関だ。「知識を交換し、世務を諮詢する」をスローガンに明治13(1880)年に設けられた。つまり「交換」の「交」と「諮詢」の「詢」だ。
  600人の会場は満席。定員をはるかにオーバーしてしまい、参加出来ない人も多かったそうである。しかし、参加者の顔ぶれを見れば、「日本語」を憂う世代ばかりというのが少し哀しい。

  「子供たちに美しい日本語を伝へる会」主宰の土屋秀宇さんの基調講演。そして渡部昇一(上智大学名誉教授)、平沼赳夫(衆議院議員)、愛甲次郎(文語の苑 代表)も石井公一郎(石井事務所 代表)の4名によるパネルディスカッションが行われた。平沼さんは国語を考える国会議員懇談会の会長もしている。
  しかし、世田谷区の「日本語教育特区」の試みは素晴らしい!平成16年に「日本語教育特区」となった世田谷区だが、小学生用に3冊の教科書「日本語」を作った。中学生用としては「哲学」と「表現」の2冊。また「日本文化」が加わって、小中全6冊のシリーズが完成するらしい。 「日本語」については、俳句、和歌、詩など韻文が多く取り入れられ、く音読志向の教科書である。小学1・2年生用の教科書から、漢詩が出てくることには驚きである。現代の学校教育の中で、漢詩文がとりあげられているとい事は実に画期的な事なのだ。孟母三遷というか・・・今、子育て中であれば、引越ししたいと思うかも知れない。ならば、全ての学校で!というわけにいかないらしく、講師は「先ずは・・・・教師の指導からはじめないと・・・」と苦笑。笑えない話だが・・・・・。

  9歳は子供の脳から大人の脳に切り替わる頃だといわれる。この時期にどんな教育をするか?が大切だ。言葉の「命」について、日本の「国の言葉」について、つまり日本国自体の問題である。誰もが真剣に考えていかないとならない。

土屋秀宇さん
愛甲次郎さんの「文語の苑」
平沼赳夫 ホームページ

社会問題 : 逮捕前夜!

  「気合と根性!」。誰にも負けないものは何か?という質問に対し、ホリエモンこと堀江貴文はそう答えた。類稀な記憶力。それは「必要ない事は覚えないこと」だと言う。覚えることは徹底的に覚えているという抜群の記憶力とともに、集中力もまた見事といえる。

  『徹底抗戦』〔集英社〕の出版を記念して、天才工場主催の特別講演会があった。帯には"ホリエモン 渾身の書き下ろし これがオレの言い分だ!"とある。媒体にしても記者名にしても、具体名がわんさわんさと登場。忘れていたことを思い出させてくれる。別に、何か関係があったわけではないが、「はぁ~なるほどね~」と自分も整理がつく。

  叩かれ叩かれた時間。逮捕そして勾留。3年間の気持ちの整理は気が遠くなるほどだったと思う。民主党が自爆したあの怪メール事件をはじめ、あの逮捕劇まで。まさに狂乱した報道はまだ記憶があるだろう。しかし今、「ライブドアって倒産したんでしょ?」などという人だっている。
  しかし、側近と言われる人々のあれまでの裏切り?の数々。聞けば聞くほど、一体、何が彼らをそうさせたのか?と思える。有り余る"欲"はやはり、人の世にあって・・・・身の破滅なのだ。魑魅魍魎の仕業か?
  一時はスマートになった時もあったが、ステージのホリエモンは昔のまま。何とも肉付きがよい。パープルのティーシャツは、もう少し脱メタボのほうが似合うかも知れないな・・・・・・失礼!ひとの事は言えないが。

社会問題 : みんな同じ


   久しぶりに「動脈硬化」という言葉を思い出した。某有名私立大学のある会合で・・・・・。少子化、昨年のリーマンショックからの不況そして大学間の競争、この三要素はその大学だけの問題ではないだろうに? 学生の人気ランキングや、親御さんや塾関係者が進学をすすめたいランキングにたとえ「なかった」としてもだ。その三要素だけの問題ではない筈だ。新聞や雑誌の数字はあくまでも参考のデータとして考えればいいでしょうに。一喜一憂していたら大変大変。

  

  「企業として動脈硬化をおこしているのではないか?いつから、そんな大企業病になったんだ!」と、以前勤務していた時に会議の席で、当時の社長が声を荒げたことを思い出した。フリーペーパーというものが日本社会でも認められ始めた頃だ。現在の社会感覚では全く考えられない、そんな時代の話だ。成長を続ける時に、"それなり"の期待とサムシングを得ると、どうも人間とは驕るようになるものだ。当たり前のようにみな勘違いし始める。そして謙虚さを失う。そしてヒットしなくなると、何かの「理由」を考え始めるのだ。売れるための突破口を愚直に探し求めればいいだけであるのにだ。


  その理事長は演台をバンバンとたたいて「全て私がわるいのです!何か意見があれば今、ここで、私に言ってください!」と。何も批判をしたいとは思わないが、その居丈高な物言いは誰からの意見を吸い上げることも出来るわけがない。♪みんな私が悪いのよ~なんて台詞は陳腐でしかないだろうに。破綻した金融会社の記者会見でもそんな事を言った社長がいた。
  長~い歴史。そしてプライド。しかし社会の変動は何もかも飲み込んでいくものじゃないか?まだ命を救える動脈硬化であるのなら、即刻その症状にしていった原因を見つけ、捨てていかないとならない。しかし、この「捨てる」という考え方が人とはなかなか出来ないものだ。執着してしまうのだ。だが、今、そしてこれから大学が存続する方法は?これに全ての大学が立ち向かっているではないか?みな同じだろう。
   


  理事長の話を聞いていると、緊急で原稿の訂正の連絡がケータイメールに入る。その大学とは違って、まだ新しくできたばかりの大学の入学案内の原稿の事である。既に入稿済みのコースがなくなったということでの緊急作業開始。駆けずり回って多忙なライターを何とか掴まえて、緊急作業に入る。深夜に入稿してセーフだった。まあ、その大学の理事長から見れば、「???」という大学かも知れない。しかしまさに資格取得をはじめ実学に徹した要素を持つその大学の人気は確実にアップしている実状がある。これもひとつの見方だ。
  さてさて、これまでの実績とプライドを守るために、たまには「美味しい!」と評判のその大学の学食で、学生達とワイワイとご飯を食べて「意見を聞かせてくれ」と聞いてみれば如何かな。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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