ch07.味: 2011年1月アーカイブ


  また「食」の話題になってしまうが、今週末に読者の皆様と一緒に新春の食事会をする予定だ。昨年秋に池袋西口にイタリアの街中にあるレストランを忠実に再現?した「オステリア・サンテ」という店だ。ここのシェフの松本さんは「グラナータ」の落合シェフのもとでイタリア料理の修業をはじめ、その後2000年からイタリア各地で4 年間修行。帰国後、都内の有名レストランで着々と経験を積んだ人である。とかく、派手にオープンしてもいつの間にか閉店してしまったり、「あれ?」と味が変わっていく店も多い中、松本シェフは心底、真面目に料理に取り組んでいる人である。当たり前のことが実はなかなか難しいものだと感じる。店は着席だと20人と少しくらいの広さ。しかし、活気がある。駅前の店舗とか、駅ビルの中にあるわけではないが、ファンの心を確実に掴んでいる、そんな店だ。
  随分前の話だが、イタリアに行った時に感じた「ああ!私はイタリアの空気が好きだ」という思い。しかし、ただ「好きだ・・・」なんて言っている私とは違い、しっかりじっくりと修行したという若いシェフの腕前は本当に素晴らしい。今回も「~の記念に」などという参加理由をお聞きすると何か、心があったかくなる。美味しい料理は最高の笑顔を作ってくれる。今週末、そんな皆さんに会える。楽しみだ。

  食べ物の美味しさが分るのには、ある程度年月が経たないと・・そんな気がする。小学校の低学年の時、よく父は、かんだやぶそばに私を連れて行ってくれた。本当に頻繁に連れて行ってくれたのだが、当時の私としてはそれほどに感動はなかった。父の本当に嬉しそうな笑顔と、店内にこだまする「せいろいちまぁーい」とよくとおる声が今も頭の中に残っている。
 
  蕎麦好きの人のおすすめで、千代田区猿楽町の手打蕎麦切「松翁」へ。水道橋駅から、靖国通りに向かい「錦華通り」をひたすら真っ直ぐ歩く。路地を入るとその店がある。「昼は長蛇の列でなかなか入れないと」友人が言う。しかし夜も満席で何人もの人々が残念そうに帰って行く。なるほど店内は20人?もはいれば満席。注文をうけてから作るコシの強い麺はつなぎなしだという。噛むたびに蕎麦の本来の味が口に広がる。適度な弾力。そしてススッ、ツルッと喉を通っていく。つゆの旨さも「味」とはこういうものかと言うほど完璧だ。友人たちは恰も蟹を食べているかのように??静かだ。その様子もまた可笑しい。天ぷらは揚げたてを何回かに分けて出してくれるのでアツアツだ。好物のフキノトウそしてタラノメと春の味がまた口の中に広がっていく。日本酒も各地の銘酒がずらり。そのラベルを見ているだけでふふふっと嬉しくなる。突き出しの蕎麦味噌から始まり、心地よい時間が過ぎていく。そんな店だ。


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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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