ch07.味: 2008年3月アーカイブ

ch07.味 : 春の宴


   春の気配は何故こんなにうきうき・・・というより何故こんなに浮ついてくるのだろう。自分の中の体内時計がいよいよ!と再び活動開始を告げる。


  東京や名古屋など早い地域の桜の開花予想が今日の日曜日だ。いよいよ春本番か。サクラダイやサクラマスなど「桜」にちなんだ名前の魚たちもいよいよ旬を迎える。


  昨日は夕方から友人たちと隅田川をくだろうという話しになった。暮れなずむ頃に日の出桟橋から皆で船に乗った。それぞれの仕事を終えて、息きらしてやってきた人もいた。
  「まるで日本じゃないみたいだね~」と一人が言った。
  「じゃ、どこなんだ?」
  「マンハッタン?」といいながらやはり、暮れなずむ情緒ある風景に皆はみいてっていた。水の上は意外と風が冷たく感じ、やはり開花はまだ先かな?と思えた。
  
  春先はゴーグルのような花粉防止の眼鏡をかけたり、顔を覆いつくしたようなマスクをしたりで、花粉に悩む人々の井出達は大変なものだ。くしゃみ、はなづまり・・・いろいろ症状は訴えているもののやはり、「春」の到来は嬉しいの一言だ。
  船は浅草に到着し、旨い肴と酒を飲もうということになった。「浅草情緒あるところがいい!」という条件で、横丁をちょっと入った人気の店に入った。ふきのとう、空豆、ホタルイカ・・・・各人の好物が並ぶ。春の味わいに堪能しながら、宴が始まるころはひもとっぷり暮れていた。

ch07.味 : 美味しいご飯


   美味しいご飯が食べたいと思うたびに、炊飯器の情報に右往左往している。炊飯器に限っては何故か浮気性である。が、最近、私の周囲ではやたら「ご飯は土鍋に限る!」と言い切る人が多い。土鍋派とでもいうのなら、その中でもいろいろな炊き方が披露される。「最初はお湯で」という一言には「えええーっ?」と吃驚もした。が「はーん、なるほど」と納得する人々も多く、本当に「食」の世界とは知れば知るほどに面白いものだと思う。その上、「炊き上がったら混ぜてはダメ」と言われたので「へぇ?」というと「周囲はお米の甘さが違うのっ!」と教えてもらった。疑い深くいろいろ聞いていると、つまり、周囲のご飯は真ん中あたりより柔らかくなる。つまりふわっと甘く感じるということだ。・・・・となると、また今度は好みの土鍋に出会いたくなってきた。


  ネットのニュースで江崎グリコの調査についての記事を読んだ。1歳過ぎの子どもの食事について「自信がもてない」と感じている母親が7割にのぼるとい内容だ。1歳以前と比較して食事の事で悩む度合いが増えたと感じる母親が6割に達しているという。、つまり離乳食から幼児食への移行に伴って献立で悩む母親が増えているということは・・・・しようもないことだ。長子であるかどうか詳しくチェックはしなかったのだが、言い方に品はないが所謂「場数」をふむしかないのだ。至れり尽くせりの情報。育児書は山ほど出版されているではないか。「悩め悩め」と言いたい。悩んで悩んで、育児書を読むでもいいし、親がいれば聞いてもいいし、また、友人その他いろいろ、こんなに情報がある世の中は悩んだほうがいいのだ。なんでもかんでも口あけて待っていればふってくると思ったら大間違いだ。
  団塊世代の母親の一部か、「スポック博士の育児書」なるものに夢中になった。そして「ジョーリー博士の育児書」に夢中になる世代もいた。今、子供達が巣立ち、親たちは静かに当時を振り返る。「無駄だった」「間違っていた」など口にするものもいるが、何れにしてもその「時」は一生懸命に悩み、一番良い方法を模索したのだ。
  全ての事に言えること。口あけていれば不っては来ない。「悩み」なくてしは「喜び」も分からない。兎に角、「自信が持てない」などと言う前に、やれる努力は日々全力ですべし。それしかないのだ

ch07.味 : 器の魅力

   今朝の新聞で読んだ。作家の曽野綾子さんが、陶器で商売をされている方が来て「窯元は壊滅状態」とい言う。その背景にどうも家庭で料理を作らなくなったためかと書かれていた。確かに、スーパーに行って食品売り場など見てみると、なるほどと思うことが多い。例えば刺身なども柄がプリントされたトレイにきれいに盛り付けされている。「これはどうするのだろう?」と思ってはみるが、そのまま食卓に出す家庭も多いときく。
   「もう、最近はコンビニで買ってきたおかずはそのまま食べてしまうの。食器を洗う手間も省けて便利な世の中よ」と、一人暮らしのご夫人が言っていたのを思い出した。昔、「一人で暮らしているとねえ、鍋からそのまま食べてしまってハッとした。いけないいけないって、反省したのよ」なんて昔々、学生時代に一人暮らししていた友人の言葉も思い出した。コンビニでもサラダ、ご飯もの、ソバ類、グラタンやその他いろいろ。そのまま食卓に並べて、食べ終わったら捨てればOKというものばかりだ。1回そうしてしまうと、いちいち皿を出して盛り付けてなんて面倒なのかも知れない。


  文京区の千駄木に、昔に顔なじみの陶器の店がある。大学病院に行った帰りは必ずのぞいてみる。小さな小さな店内に所狭しと陶芸作家のいろいろな作品が並んでいる。先日は大好きな織部の角皿を購入した。あの深い緑色が大好きなのだ。今日も、店をちょっとのぞいてみた。女主人がにこやかに出迎えてくれた。「先日の織部の皿、重宝していますよ」というと「まあ!良かったです」と微笑む。「和食、洋食問わず、どんな料理でもあいますねぇ」というと咄嗟に「どんなお料理を?」と聞かれた。あまりに咄嗟の質問に、一瞬たじろいでしまった。たいした料理なと゜作ってもいないし・・・・。「野菜の煮浸しとか、ちょっとした揚げ物も。そうそう、サンドウィッチものせましたよ」と言うと「まあ!」と妙に喜んでもらえた。不思議なものだ。皿ひとつで私の手間隙かけぬ料理さえ、素適に引き立つものなのだ。こんな生活の中の小さな小さな感動。伝えたいものだと思った。

ch07.味 : 関サバの思い出


   「燃料費出ない」「採算あわない」と 原油高は農業や漁業にも影響を及ぼしている。
たとえば、大分市佐賀関で水揚げされる高級魚の関サバの漁獲が激減しているという。地球温暖化の影響も指摘され、「このままでは幻の魚になる」と危ぶむ声も出始めているのだ。
  
   食べ物で思い出すことがあるものだ。美味しかったという思い出もあるだろうが、シーンや言葉などいろいろあるものだ。この、関サバというと何故か、私はあの緊張したある接待の席を思い出す。随分、昔の話だが・・・。
   ある取引先との席だった。クライアントに対しては、生々しい話も切り出さなくてはならないだろう。緊急の会議が入ったということで同席する筈の上司の到着が遅れていた。クライアントとのポイントのなる話しは上司が先ず口火をきる筈。だから、それまでは何を話題に話せば良いのか・・・・・私の緊張を見てか、女将が微笑みながら「今日は美味しい関サバがはいりましたよ、おだし致しましょうか」と言ってくれた。新鮮な関サバが運ばれた。「関サバですか!好物です」とクライアントは「旨い」と大喜びだった。何故か、ほっと私の緊張もとけた。あの日以来、あの店には行っていないのだが・・・・。
   関サバは若い時代の緊張を思い出させてくれる魚だ。「幻の魚」になってしまってはちょっと哀しいのだ。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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