ch07.味: 2009年10月アーカイブ

   城跡が好きで、先般、出雲に出掛けた折、戦国時代には大名尼子氏の本拠地となった月山富田城の城跡を訪れた。ここは独特の天然の地形を利用した城で難攻不落の要塞城と言われ、「天空の城」とも呼ばれていたらしい。本丸まではとても無理だなぁ・・・・・・と思いつつ屈折した山道をおりていく途中に綺麗な葉がピカピカと輝いている柿の木を見つけた。そして、何枚かいただいた。何故って?


  今は鯖が美味しい季節だ。そうだ"柿の葉寿司"を作ろうというわけである。何か、感動も詰まった寿司ができるのではないかとワクワク気分である。とってくる用意をしてきたわけでもないので、たまたまバッグの中にあったポロポロの袋に数枚、丁寧に入れて持ち帰った。道端には紅葉した葉が何とも芸術的に散っている。この風景もなかなかよいもだ。冬に向かう秋は物悲しくなるのだが、秋のひんやりした空気を頬に感じながら、いろいろな事を考えての山歩きも楽しいものである。
  
  さてさて、出来上がった柿の葉寿司はいろいろとまわりに配ってしまい・・・・・写真を撮っておけばよかったと今は後悔しきりである。


   秋の味覚というと"きのこ"。まさに王様!である松茸は勿論?であろうがシイタケ、シメジ、ナメコ、マイタケ・・・・といろいろ種類も多い。キノコご飯とかキノコ汁と名付けてはキノコどっさりの料理を作るのは楽しい。ふわ~っとかおるキノコのかおりの素晴らしさに気付くものだ。
  ところで、ネットで猛毒キノコ「カエンタケ」というキノコが京都など関西地方の山林で急増しているというニュースを読んだ。これはまさに火炎を思わせる真っ赤な色をしたキノコらしい。山奥ではなく、ハイキングコースでの目撃情報もあるそうだからこれからの行楽シーズンをむかえるにあたって注意をしてほしい。
  時々、毒キノコと食用キノコなんて図鑑で見れば分るよと言う人もいるが、決して侮るなかれ!である。ちょっと有名なところではベニテングタケ(毒)とタマゴタケ(食用)。本当によく似ている。両キノコの決定的な違いは、傘の裏側のヒダと柄が白いことがタマゴタケとの違いだというが素人にとって一見しただけでは分らないものだ。
  昔、キノコ研究家の大海勝子さんにいろいろキノコの話を聞いたことがあるが、実にキノコの世界も深~いものだった。見ているだけでは素人では殆ど見分けがつかない毒キノコと食用キノコ。しかし食すとなるとその差は大きい。多分、キノコを食べる食べないは別として、山の動物たちにはその差を見分ける凄い能力が備わっているわけだ。
  これからの季節は山で遊ぶ人たちも多くなる。片手に図鑑を持ち、ビニール袋にどっさりととったキノコをいれて「今夜はキノコ汁よ~♪」なんて気軽にいわないで。ご注意を。

ch07.味 : "葉っぱ"の美学


  先般、某料理屋で打ち合わせも兼ねて日本料理をいただいた。秋の食材で美しく艶やかに彩られている。日本人に生まれて本当に良かった!と思う一瞬である。料理をより引き立てている"柿の葉"や"紅葉"を見つけ、まさに"秋"が目に飛び込んできて、ほっと心が和むのだ。
  ところでテレビ番組などで時々紹介されている徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」がある。日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、販売する農業ビジネスの事だ。番組を初めて見た時に、なんて素晴らしいアイデアだと思った。つまり、趣味ではなくビジネスとして確立させたところが実にすばらしいのだ。こういう着眼点というか、出来そうで出来ないことなのだ。。
  しかし、この上勝町は高齢者比率が49.5%という、過疎化と高齢化が進む町だった。しかし、今ではお年寄りが実にイキイキと仕事をされている。その姿を見ると、つい、ほほが緩んでしまう。高齢者でも扱える"葉っぱ"という商材であることがポイントなのだろう。中にはなんと年収1000万円を稼ぐおばあちゃんもいるというから驚きだ。パソコン上で自分が町で何番目の売上を上げているか?その順位も分かるようになっているから売り手側の良い刺激にもなるわけだ。
  たかが葉っぱ、されど葉っぱ・・・・・である。今では世界的にも注目をあびているビジネスだ。日本の美学がぎっしりつまっている感じがして嬉しい。


  新米が美味しい季節になった。出張先の車窓から黄金色の稲穂が風に揺れるのを見ながら、ああ!日本という国に生まれて本当に幸せだと思う。
  健康に良いからという理由で、暫く玄米や雑穀などを食べているが、この季節になるとやはり炊きたての真っ白いご飯が食べたくなる。あの真白なものに何が一番か?と自己投票してみる、辛子明太子、塩昆布、糠漬け・・・・いやあの炊き立ての香りだけていいという感じだ。
  産地もいろいろ拘る人も多いが、魚沼産コシヒカリ」の産地、新潟県南魚沼市では「JA魚沼みなみ」コシヒカリ全てについて、食味を左右する玄米のタンパク質含有率を調査し、基準を満たさない場合は主食用として流通させない取り組みをしているそうである。確かに産地間の競争は激化する一方。多くの品種改良、また地球温暖化で、寒冷地でも質の高いコメの栽培ができるようになった今は比較的安価な北海道や東北産が浸透しつつある。こんな厳しい状況の中で"魚沼"という絶対的なブランド力を維持する場合はその価格に見合ったコメかどうか?は必須条件になってくるわけだ。タンパク質の含有率が多いといいんじゃないかって思っていたが、この値が高すぎるとご飯が硬くなり、粘りも少なくなるそうた。つまり「おいしくなーい」ということだ。
  どの世界も「作れば売れる」時代は完全に終結した。消費者の財布の紐はしまるばかり。これじゃあ経済も活性化しないと素人の私でさえ感じる。決して消費者を裏切らないということ、これに尽きる。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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