ch12.その他: 2007年4月アーカイブ

ch12.その他 : 出逢い


  人の記憶とは本当に不思議なものだと思う。
  先日、友人が経営する青山のバーでちょっとした集まりがあった。いつものメンバーである・・・・ところに何と!その夜は女優の宇津宮雅代さんが登場。初めてお目にかかったと思い・・・・・挨拶をした瞬間、「あっ!」と思い出したのだ。そう、当時はかぶりつき?で見た、昔々の芝居を思い出した。確か、前列か二列目か。その芝居とはつかこうへいさんの「ヒモのはなし」。何故か、その時のシーンが頭の中を駆け巡って話し始めた。宇津宮さんの表情はハッと変わって「いやだぁ、もう30年位前のお芝居じゃあないの」なんて笑い転げた。そう、昔々の舞台の話。当時はつかさんの舞台はよく見に行ったもので、その中でも鮮烈にあのシーンは覚えていた。そんな時間が凝縮して、その仕草や台詞さえも懐かしく思い出された。話が弾んで弾んで、ワインもすすみ・・・・楽しい夜が過ぎていった。素適な出逢いだった。そして宇津宮さんは相変わらずの妖艶な美しさをはなっていた。

ch12.その他 : 春の風景

  桜が満開の季節。本当に春を感じる。谷中を歩いた。地面につきそうなほどに、たっぷりとした桜が美しい。お花見で賑わい、あちこちから笑い声が聞こえてくる。まるで“茶の間”が出現したような席もある。暫くして、ある席がざわざわとしてきた。三味線、太鼓、尺八そして、民謡を歌いだす女性の姿があった。周囲も手をたたき、踊りだす人もいる。なんと穏やかな光景だろうか。満開の桜の下で、酒を酌み交わし、歌い、踊る、人々の笑い声の包まれた春の一日。

  そんな春は入学、入社とお目出度い知らせが沢山くる。入試だなんだかんだと緊迫した時間が過ぎて、明るい知らせが届く。子どもが生まれたという知らせも嬉しい。だけど、最近は本当に平凡というか例えば女の子でも「~子」という名前をなかなかきかない。読むのも一苦労。振り仮名なしでは全くお手上げ状態。「原子」はアトム君。「騎士」はナイト君。「栗菓子」はなんとモンブランちゃん。ある音楽一家のご兄弟をふと思い出した。長男の「有人」アルト君、次男の「拓人」タクト君、三男の「天那」テナ君、四男の「玄」ゲン君。みんな元気かな?風が吹くと桜のはなびらが舞っていた入学式や卒業式の懐かしい光景がうかんできた。。


  英国では日本のマンガやアニメが爆発的な人気をあつめているそうだ。そんな英国で、現代風にアレンジしたシェークスピア作品の漫画版が出版された。まさに古典とマンガの融合。
 マンガ・シェークスピアの作品は「ロミオとジュリエット」と「ハムレット」の2つで登場人物をキャラクター化して原作の言葉を抜粋してそのまま台詞として加えている。悲恋もののロミオは現代の東京が舞台でなんと!ヤクザの抗争に巻き込まれた男女の悲哀物語に。英国ではシェークスピアが学校教材として使われているものの、子供には難しすぎる。退屈になりがちな子どもたちに漫画として再現すればいうことが出版の動機らしい。
  難解だといわれているものでも、内容は面白く、〔ちょっと不思議なエロティックなところもあるのもいい〕マンガにしたら楽しめそうな題材はいくらでも転がっていると思う。常々思っていたのが釈迢空(折口信夫)の『死者の書』だ。当麻寺に伝わる当麻曼荼羅の伝説に想を得て作られた小説だ。平城京の都の栄える頃、春の彼岸の中日、二上山に日が落ちたとき中将姫は尊い俤びとの姿を見る。非業の死を遂げた大津皇子の亡霊。彷徨う魂。自らも浄土へと誘われていく。時々、読みたくなる一冊だ。
  先日も新宿の紀伊国屋書店で「死者の書はどこに?」と訊ねたら、フロアにいた店員さんが10秒くらいで持ってきてくれて感動した。
難解でどこかとっつきにくくても、何かのきっかけで先ずは入り込んで見ることも楽しい。それがマンガ文化なのかも知れない。

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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