ch10.生活: 2004年12月アーカイブ

ch10.生活 : 「災」の一年が過ぎて

 2004年大晦日。天文学で天体の軌道計算などに用いられるユリウス通日で数えると、西暦元年1月1日を1日として今日が732326日目になるという。そして、明日の元旦732327日目。なんとも節目のない数え方だ。お盆とお正月もなく天体は絶え間なく動いていく。この節目のない時間の連鎖を人は日々坦々と過ごしていく。
  この一年、多くのことが起こった。交通事故・幼児虐待・殺人・誘拐事件。台風や地震などの自然災害が相次いだ。「災」の一年。そしてインド洋大津波。未だ不明者の数は把握されていない。10万人を超すと言われる犠牲者。邦人の行方ばかり報道は気にしているが、北欧からの旅行者がかなりあるという。自分の国にはない気候・風土に憧れて訪れた土地で天災にあってしまった多くの人々。また、地震も津波も経験のなかった現地の人々を襲った恐怖。
 これからも時間は流れていく。日々は過ぎていく。しかし、戦争、テロ、拉致問題と解決されていない問題は山積みなのだ。、新しい年がきても私たちは決して忘れてはならないことがある。「風潮」に流されることなく、自分の出来る限りの力を尽くして新しい年にむかわなくてはならないのだ。

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 新潟中越地震から2ヶ月が経った。夫が先日、地震の調査から戻ってきて、惨状のすごさを伝えてくれた。新聞の活字から、テレビで放映されている画面からは伝わらないものが「現場」にはあることを。
 山古志村は今月の17日朝から雪でうっすら雪化粧した。山沿いでは積雪となった。被災地には今月末には本格的に雪が積もり、極寒の季節を迎える。
 地震直後、そして暫くの間、あまりの臭いに息ができないほどであったという。特に被害の大きかった山古志村は言葉が出ないほどの状態であったという。家族同様のウシや鯉たちが命を失い、土砂の中に埋まって、腐敗したのだろうか。本当に自然の脅威には、太刀打ちできない人間の力のなさを感じ、涙がこぼれる。
村への道路の復旧は来年春の雪解けまで待って欲しいと村の人々が願っていることも聞いた。「何故って?村へ入り、家財道具などを盗む人がいるから・・・」。
いつの世も不埒な者がいるという現実・・・・・。

 「嫁にきた時から、この村が好きだったから・・・」と80過ぎのおばあちゃんが目を潤ませながらテレビのマイクに向かって話している。

 「山古志の季節は、人々の暮らしを映しています。春・木々の芽吹きと共に迎える、目のさめるような新緑夏・斜面には、青々と輝く無数の小さな棚田、秋・紅葉に溶け込むような秋の実り、冬・真っ白な、白銀の世界に自然に逆らわず、しかも屈することなく、 その厳しさと豊かな恵みを受け入れながら、 人々は自然と共に生きてきました」と地震前の美しい山古志村の光景が映る。美しい棚田、そして闘牛にわきたつ村の人々の笑顔と歓喜の声が聞こえてくる。
 そんな自然の美しさ・逞しさの中で、このおばあちゃんや村の人たちは暮らしてきたのだろう。一日も早く、もう一度「闘牛と錦鯉のむら」の村が復活するまでにはかなりの時間はかかるだろうがその日をせつに祈る。

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 自宅の近所に気になる店がある。ある集合住宅の1階の部分に4店舗あり、そこの一つで、今はクローズになっている。目の前には小さな公園があって、夏には盆踊り大会で賑わいを見せる。JRの某駅のすぐ近く。本当に改札口から1分くらいの立地。というのに、ここに入ったお店は開店してから1年もたないのだ。本当に不思議でしようがなかった。 初めて訪れたのは5年ほど前。それから3~4回ほど店舗が出たり入ったり。熱心で誠実な店長ばかりだった。男前の店長も多かった。夏になるとアルバイトの若い女性が愛想よく生ビールの無料チケットなど配ったり、いろいろ工夫をしていた。料理も美味しく、そして安い。勿論、目の前の公園で盆踊り大会の時は店内や店の前にせりだしたデッキには沢山のお客さんでてんやわんわ。というのに・・・・・暫くすると「実は閉めることになったんですよ」と店長がぽつりと呟くのだ。その度に何度も寂しい気持ちになった。隣りは薬局、呉服屋、手芸店とこの3店舗は変わらないのに、何故?
 ある日、風水研究家の安藤成龍先生が広島から東京にいらっしゃった時、お茶を飲みながら、この店舗のことを詳しく話した。中小企業診断士でもある安藤先生は地元広島で薬膳の店とレストランをコラボし大成功している。そのほかにも繁盛店を沢山出している人だ。
 先生は暫く考えた後に安藤先生は「その店舗の横にある坂からのぼる気が、スッとすり抜けていくようですね」という。確かに、その店舗の横にはなだらかな桜並木の坂があり、春には桜が見事に咲く。私はその桜をみながら坂道をゆっくりと歩くのが好きだ。
 「じゃあ、そこに入る店は気が入らないでいつも閉店してしまうんですか?!」と聞くと先生はこくんと頷いた。大繁盛・・・というより、せめて1年以上開店させる方法はないのだろうか?
 「例えばね、店の前に水を流して気を循環させればいいんですよ」といい「店内の内装にかける費用をもっと風水診断にかければいいと思いますよ」と続けた。
 先週の休みの日も、私はこの店を見ていた。今も看板ははがされたままで、はらはらと散る落ち葉が哀しい。年を越し、来年に、もし店がオープンしたら、ちょっとお節介だけれど風水の話でもそこの店長に話そうかな・・・なんて思ってしまう。
 お気に入りの店はいつもオープンしていて、明るい笑い声が聞こえたらいい。仕事帰りに飲む一杯目のビールがほしい。

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地下鉄に乗っていた。背後から若者の会話が聞こえてくる。こんな時、私はつい外国語を聞くような楽しさで若者言葉を聞いてしまうのだ。
男「ありえないよぉ~。こっち先輩なんだからさぁ~」
女「まじ?」
男「かなり(イントネーションが変?) やばいんだよっ」
女「ため?」
男「けーご使えってーの。ためじゃないしぃ」
女「まじ?ありえなくない?」

独特のイントネーションをお伝えできないのが残念だけれど。
どうも男性の勤務先にアルバイトの男性やってきたが、先輩である彼に対して敬語をつかわないので、気分が悪いことを彼女に話しているようだ。しかし女性の口からは殆ど会話らしいコトバは聞かれることなく、ずっと「まじ?」「ため?」「ありえなくない?」だけだった。
駅に着いた時、男性に「どんな敬語を使ってほしかったの?」とちょっと質問をしてみたいくなったが。。。。

「ため」とは,もともとは賭博用語。二つのさいころを投げて、同じ数がそろうことを「タメ」ということから「五分五分」という意で不良少年?古い?が転用し,「同年齢,同級生」の意味となったもので1980 年代には一般の若者にも広まったといわれる。つまり「ため」にしても「やばい」にしても、あまり品のある言葉ではないっていうこと。
では「まじ」は?
これも、本来の意味とはニュアンスが異なってきている代表例。そもそも「まじめ」に由来する「まじ」という短縮語。「まじめ」から「まじ」という短縮形になった段階ではまだ「真剣」という原義を残していたようだが若者達が「まじ?」「まじっすか?」と頻繁に使うようになってからどうも「本気」という意味に変化。そしていまや、「本当」の意味になってしまった!
 それと、よく女子学生の会話で頻繁に出てくる「きもい」「きしょい」などの新形容詞。
これらは否定的な意味合いを持つ語が大半だ。彼らは日常で頻繁に使う単語は短縮形にしないと「めんどい」ということらしいが、この原則からいうと、気分がいい、気持ちいいといった単語の短縮形はないのだろうか?ふと、考えてみたが、これは短縮形はないようだ。
なんといっても超インパクトがあったのは、2004年の世相を反映した言葉を選ぶ恒例の「流行語大賞」で見事大賞に輝いた、アテネ五輪の平泳ぎで2冠に輝いた北島康介選手の「チョー気持ちいい」。若者言葉の典型である「チョー」は今は「程度が甚だしい様子」を強調しているが、今後はまた派生した使い方が出現してくるのだろう。
「美しい日本語」を大切にしよう、したいと考えるとまじ、かなり、チョー複雑な心境だ。

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不祥事といえば、国士舘大学サッカー部と亜細亜大学野球部の事件。子供を持つ親の間ではとにかく話題にのぼる。あーだこーだと親たちは熱くなって語るが、時々、「ちょっと待てよ?」と思うような結論をだしてくる。例えば昨日も、プツッと会話か゜途切れてしまった。

「あの子たちはレギュラーではなかったんですよ」
「というと?」
「試合に出られない連中。いわば補欠」
「でも練習すれば試合には出られるのでしょう?」
「なかなか厳しい。だからブラブラとろくでもないこと考えたり、やったりしてしまう」
会話はここで終わり。サッカー、野球に関してはあまり私自身が詳しくないということもあるけれど、それでも「はっ?」と疑問に感じる。たとえ今は試合に出られなくても、努力して練習すればレギュラーになれるのでしょう?スポーツに打ち込むものにはスポーツマンシップというものがあるのでは?レギュラーでない=ブラブラとしてろくでもないことをするではないでしょう。

 某新聞に「大学に今求められる人間教育」という見出しがあった。
ばっかじゃないか?と思った。大学は「学ぶ」ところ。人間教育は既に家庭の中をベースに培われていくものなのだ。
 随分と昔の話になるが、警視庁に「家出少年・少女」の取材に行ったことがある。当時、思春期相談を担当していた江幡玲子さんが「子供が16歳になった時、それは親の子育ての領収書なのよ」と言った言葉が忘れられない。その頃の私はまだ1歳の長女の子育て真っ最中だった。16歳の子供など全く想像も出来なかった。
 「子供に対して、どんな接し方をしてきたか?子供をどう育ててきたか?それが16歳になった時に現れる」というのだ。いろいろな育児書を読みながらも、私は「16歳領収書」説を常に念頭においていた。迷いながらの子育て。娘が16歳という年齢に近づいてくるにつれ、妙な緊張感が生まれたものだ。
 親は「家庭」という土壌の中で、子供という種子を一生懸命に育てていく。家族が互いに良くも悪くも影響しあいながら。それは毎日毎日の積み重ねだ。一朝一夕では出来はしない。
 話は戻る。。。。彼らは家庭で何を学んだのか?親は子供に対して何を教えたのか?
彼らはとうに16歳という時期を過ぎている。人間として「当たり前のこと」を教えてきたのだろうか?自分も含め親たちは死ぬほど考えてほしい。

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 忘れもしない「オレオレ詐欺」の電話を受けた11月22日の朝のこと。娘の情報は大学の名簿かなんかから漏れたのかしら?と考えていた。一週間後、娘の高校の同級生のお母さん(私は駒ちゃんママとよんでいる)から、慌てた声でケータイがあった。
 「大変大変、オレオレ詐欺の電話があったのよ。娘が泣きじゃくっていて、怖い声の男が、私じゃ判断できないから、1週間前に定期を落として、刑事さんが。。。。」と、なんとも話がごちゃごちゃ、結構混乱している。
 つまり、「お母さんお母さん」と泣きじゃくっている娘が電話に出てきて、次に怖い男が「オーラァ~ッ」と登場!駒ちゃんママはあまりの怖さにビックリ。そういえば、一週間前に娘が定期券落としたと言っていたっけ・・・・・それを悪い男が拾って!もしや、娘は監禁されているのでは?
 我を忘れた駒ちゃんママはすぐさま警察に飛び込んだ、といことなのでしょう。「何かあったら、娘のためにはいくらでも出そうと思ったの!」と駒ちゃんママは声を上擦らせていた。

 このところ、身近でオレオレ詐欺電話を受けたという知人・友人が多い。
おっと~りしている義理の妹の家にも、息子の名前を名乗る男性が電話に出できたらしい。その時、彼女はとてもぼ~んやりしていて、「はあぁぁぁ~?」と間延びして返したところ、プツンと電話は直ぐに切れてしまったらしい。そして駒ちゃんママのように大パニック。慌てて電話を切って警察に飛び込んだ。これも結果、良かった。

 一番危ないのは、動揺、動転しながらも相手の電話を真剣に聞いてしまうこと。彼らの迫真の演技、言葉巧みな話の中に、「おかしいな?」と思いながらも、ほっと入ってしまったらもう終わりだ。
 「私は冷静だから、決してひっかからない」「そんなの声質で分かるわよ」などというクールで論理的、冷静沈着なタイプは結構危ないと思う。
 あの手この手でオレオレ詐欺も進化している。みなさん、「私は大丈夫」はないですから!
本当に気をつけてほしい。
 因みに、すっかり「オレオレ詐欺」だと思って電話を切ったら、息子が東名高速で事故を起こしていた・・・・・という笑えない実話があります。それと、警察は「非通知」でかかってこないという情報も。(ここには書きませんがとても分かりやすい番号らしいです・・・・・)

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プロフィール

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吉田いち子
東京麹町生まれ。日本女子大学卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。2004年3月独立。
その後フリーランスで単行本取材・執筆。主婦、母親、会社員の慌しい?人生経験を生かした取材が得意テーマ。強みは「人脈」。名刺交換だけでなくまさに「魂」の交換?を理想にした密度の濃い人脈作りを目指している。2005年10月に首都圏在住の40歳以上のミドル層をターゲットとした生活情報誌『ありか』を創刊。2007年5月に、これまでに培ったノウハウを生かし編集企画・出版プロデュースをメーンとする株式会社『吉田事務所』を設立した。2011年春から豊島区の地域紙『豊島の選択』の取材・編集。

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