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リアルに熊と遭遇した時の話 | ichikoTV ichikoTV

リアルに熊と遭遇した時の話

全国的に?特に秋田県などではクマに出会っての被害ニュースが流れてくる。動物園でオリの中の熊でなく、実際にリアルに熊と出会うと本当に怖い。怖いという感情の前にアタマの中が真っ白になる。

昔々の話だが、栃木県の庚申山という山に登っていた時だった。それこそ笹がざわざわ揺れ、「犬かな?」なんてふっと思った時だった。ぬめりと黒光りした何かが笹の中から現れ・・・次の瞬間ふっと、何かと目があった。「熊だ・・・」と咄嗟に口に出たが、人は余りにもと想定外の事が起ると猛烈なスピードでいろんな事を考えるものだ。「死んだふりをするか?絵本にあったな」「木に登るか?あれ、熊も得意な筈だ」「全力で逃げてるか?」・・・ほんの数秒の考えだったろう。しかし「多分全てダメだろう・・・人生ってなんて儚いんだ・・・こんなところで熊に食われてしまうのか・・・」と身動きできないまま、多分、数秒が経った時に、熊は何もなかったようにゆさゆさと笹の中に消えていった。

硬直したカラダ。われにかえって山小屋へ急ぐ。山小屋のご主人にその話をすると「この山には熊は出ないよ、猿だろう?鹿だろう?」と言って笑ったのだ。「会えばわかるよ!」と心から思った。

しかし、思い起こせば、熊と出あう数秒前に山道で足がしばし硬直して動けなくなって前へ進めなくなって「?」と感じていた時間があった。いわゆる金縛り状態。初めての感覚だった。夢でも見ていたのでは?と言われそうだが。そう!夢だった・・・と思いたかったが、リアルに熊と遭遇すると、日常の諸々は完全に消えた。生きているといろんな事に遭遇するものだと思った。

随分、昔の話だけれど、さすがにその頃は住宅地にまで熊は出現しなかったと思う。

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