久しぶりに昔勤務していた新聞社の仲間たちと会った。いろんな話にはながさく。その中で妙に心にズシンッときた言葉があった。その人が昔から尊敬する上司が言っていた言葉。「70代になったらとにかく、会いたい人間にあっておけよ」と。
その上司の方を私もさんざんお世話になった。外資系の広告代理店にながく仕事されていた方で、リタイアされた後は、自然に囲まれて、野菜を作ったりして、時折、昔のお仲間たちが泊りがけで遊びに行っていたという。
ある日その人が「喉に違和感があって・・・」と言った。そして検査した結果、癌と分かり、手術されたという。その後、その人の携帯から彼に電話があったが、電話口は奥様だったという。その方は亡くなったわけではなく・・・どうもいろいろな事が判らなくなっているようだと。そして彼は、言葉を詰まらせ・・・「もう・・いい」と言った。
「会いたい人間に会っておけよ」
私はまだ70代にはなっていないが、その言葉の重さが実に心にズシンときた。ビジネスとかじゃなくて?それに最近は「賀状じまいします」という連絡を何人もいただいた。何も連絡しなげば・・・そうその人との記憶や思い出で終わるのだ。会いたい人と言われても・・・という言葉がら、思い出した。まだ20代のアタマの中空っぽな時代。もう、亡くなられているが上司がふっと言った言葉。余りにも秘密めいて、とても聞いてはいけないようなことだった。
「自分の生涯が終わる前に、好きな人と1年だけ暮らしたい」
「会いたい人に会っておけよ」という言葉の重さほどはないのかも知れないが、同じような事を言った人が3人いた事も思い出した。男の我儘、男の勝手、男の浪漫?と言ってしまえば、ハイそれまでよではあるが、人生ちょいとすこーし長く生きてくると、そんな言葉の意味合いがしみじみと分かるようになってきた。
会いたい人か・・・この選択って結構、真剣勝負だな・・・と思った。