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よみがえる ハサミとペーパーナイフ | ichikoTV ichikoTV

よみがえる ハサミとペーパーナイフ

断捨離!断捨離!とはいうものの、生活の中で見まわしてみると「捨てられないもの」があることに気付く。勿論、「モノ」は捨ててしまえばそれで焼却、そして忘却ということになるものだが・・・

気が付くと使わなくても傍にあるものが「ある」。今は亡き父親がいつも使っていたクラフト鋏とベーパーナイフ。ペン立てにいれてはあるが、切れ味の悪いハサミとナイフ。実はどうにもならない。視界に入る度、自分が小学校低学年の時に見た光景が頭の中を占める。いわば父のお気に入りのモノ。父にとってそれらは身近なモノだった。書簡の封はササッと、そしてハサミも滑らかに、そしてすべるようにキラキラと輝いていた、そんなイメージが占める。

「どうしたものか・・・」と時折、考えていた。「よし!」と心でパチンという決定打が。

そうしたものを研いでくれるところ?「ねぇ、すごく古いハサミとペーパーナイフを研いでくれる人って?」と聞いても多分分からないことも多いだろう。探しぬいた。あれこれ条件を絞り込む。だからこそ、そんな点でネットの素晴らしさを感じる。

昨日、宮城県にある店のご主人から修理が終わったというメールをもらった。「クラフト鋏は大きな刃欠けがありました」という文言を見て、専門家が見れば「大きな刃欠け?そんなものがあったのか!」とそのメッセージに感心してしまった。

急いでいるわけではなかった。確かに時間はかかったものの、キメ細かな専門家の手による修理が終わり、もうすぐ自分の手元に届く。何かときめく。

あの「日常」でありながらも、幼い自分の目に映っていた憧憬ともいえる暮らしのひとこまがよみがえる気がしてきた。いずれは捨てられてしまうものかも知れないが、「捨てないで良かった」と、心の中でほっ・・・という音、息遣いが聞こえたようだった。

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