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一等地という「土地」で問題になっていることとは?

東京の港区南青山と言えば今は都心の一等地である。そこに児童相談所を建設する計画を巡る問題が沸騰している。地元の説明会では、住民からの反対が相次いでいる中、12月19日に港区の武井雅昭区長は会見で、「区民のみなさん全体に必要な施設であると思っており計画通り建設ができるようにこれからも努力していく」と話した。表参道駅から徒歩5分にある建設予定地。建設される建物は4階建てである。相談機関以外にもシングルマザーやDV被害にあっている母親が子供と一緒に暮らせる入居施設も作られるという。

建設予定地の周辺は有名ブランドショップが建ち並ぶ。

「児童相談所はこの土地にはそぐわない」

「児童相談所の子供たちが街になじめないのでは?」

「入れられた子どもが休日なんかに外に出ると、あまりにも幸せな家族、着飾った両親、そういう場面と自分の家庭を見た時のギャップをどう思われるかということを私はすごく心配しております」

「子供も習い事もたくさんしていて、レベルも高い。もし施設の子たちがお金ギリギリで南青山の青南小学校にいらっしゃるとなった時に、とてもついてはこられないし、辛い思いをされるのではないか」

「うちは何億もかけて家を建てた。土地の価値が下がる」

挙句の果て、子どもたちが万引きをするのではないかという意見を聞いた時は唖然とした。流れるニュースに流れる住民の人々の声。

ふと気付くとすっと涙が流れていた。悲しい気持ちになった。

 

統計では、児童相談所における虐待に関する相談は昨年度は13万3778件と過去最多を更新している。港区では「子ども家庭支援センター」に寄せられた相談件数が昨年度1000件を突破したという。今、どこかで虐待を受けている子どもがいるかも知れない。虐待を望んでいる子どもなどいるわけがない。みんな幸せになりたいと生まれてきている、私はそう信じている。それが叶わない、そんな環境に対して、一人の人間の力でできなければ一国の問題として考えなくてはならないのだ。

 

以前、青山の土地で商いを手広くやっていた方をインタビューしたことがある。数年前に彼女は亡くなられたが、空襲に遭った時の事をありありと話してくださった。その時に必死で青山墓地に逃げ込んだという。恐怖の中、ガタガタと身体を震わせまんじりともせずにいたこと。「青山墓地に逃げ込んだ人は助かったのだけど・・・」と。そして、翌日、それこそ表参道にいた多くの人々が犠牲になったことを目の当たりにする。焼野原が広がっていた。その商店のご近所で出産を楽しみにしていたお腹の大きかった知り合いの女性の腹からは赤ちゃんが飛び出している姿をみた時は「声が出なかった」と言っていた。空襲の中、逃げまどい、爆風の中で多くの人々が命をおとしたのだ。「戦争は人の気持ちをも変えてしまう」という彼女の言葉が私は忘れられず、表参道に来る時は、必ず悼む気持ちをもつ。

 

「そんなこと昔の話でしょ?」と言われればそうかも知れない。しかし、その土地には限りなく悲しい歴史が刻まれていることを少しは感じる心を持てと言いたい。南青山だけでない。その暗黒の時代は日本のいたるところに空襲で命を落とした方々がいたということを忘れないでほしい。

 

 

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