作曲家の吉岡しげ美さんのお母様の告別式に参列した。
棺の中の光子さんは、とても綺麗だった。
病を乗り越え、そして乗り越えた時、何もかもが削ぎ落された美しさだと思った。
「シャネルなのよ」と指先に塗られた深紅のマニキュアのことをしげ美さんがいった。
バックグラウンドに茨木のり子さんの詩「わたしが一番きれいだったとき」が流れている。光子さんはこの歌に、戦時中の自分の青春を重ねてはいつも涙していたという。
納棺そして出棺。激しい雨が降り出した。
台風は夜半にくる予報というのに。
ふと・・・私の右腕にそっと温もりを感じた。
それは一瞬だったけれど・・・
光子さん、安らかに。
そしてこれまで有難うございました。